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医師が選んだ2023年十大ニュース、1位は『新型コロナ「5類」移行』

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 2023年も残すところわずか。m3.com編集部は毎年恒例の年末アンケートを実施し、開業医968人、勤務医4849人の合計5817人から回答を得た。

 印象に残ったニュースを10項目挙げてもらったところ、1位は『新型コロナウイルス感染症の「5類」移行』だった。新型コロナ関連では「マスク着用が自己判断に」も4位にランクイン。コロナ禍で続いた規制の緩和に向けた象徴的なニュースが上位に並んだ。2020年は新型コロナの発生から緊急事態宣言など9件、21年はワクチンの接種開始など8件、22年はオミクロン株が主流になったことなど4件がトップ10に入っていた。

 マイナ保険証関連のニュースもトップ10に2件入った。開業医に限ると、「改正マイナンバー法成立、保険証廃止へ」が2位、「マイナ保険証の紐付けミス発覚」が8位だった。

学会の指針逸脱、高額治療 発達障害外来のクリニック 頭部磁気刺激、専門医批判

 発達障害の専門外来をうたい、東京や大阪などで展開する精神科クリニックが、日本精神神経学会が認めていない独自の見解を基に「効果が高い」と宣伝し、頭部を磁気で刺激する治療に誘導していることが16日、クリニック関係者や元患者らへの取材で分かった。患者側が治療費のために高額のローンを組むケースもあり、専門医から「不安を利用している」との批判が出ている。

 この治療法は「経頭蓋磁気刺激治療(TMS)」と呼ばれる。日本精神神経学会の指針や専門家は、うつ病には一定の効果があるが、発達障害に有効との科学的根拠は乏しく、治療に用いるべきではないとしている。

 クリニックは発達障害に有効だと宣伝し、カウンセリングや診察で「9割に効果がある根本治療で、効果は持続する」と強調。学会が指針で避けるよう求めている未成年にも勧めている。

 元患者らによると、初診の脳波検査で「脳に混線がある」「発達障害のグレーゾーン」などと説明。治療費を一括で支払えない場合はローンを組ませるなどし、8~48回の施術(費用は最大で計約85万円)を契約させるケースが多い。クリニック関係者は「精神科の専門医はほぼいない。TMSの十分な研修も受けていない」と指摘する。

 治療効果が得られないとして、このクリニックの患者がセカンドオピニオンを求めて受診に来ると複数の精神科医が証言している。

 2022年春に小学生の息子のため計約60万円の治療を契約した千葉県の30代女性によると、TMSを数回受けた後、治療方針に不安を感じて中断。クリニックから未施術分の返金を受けた。

 運営する医療法人は美容外科大手と関連するコンサルタント会社に業務委託している。同社幹部は取材に「自由意思で納得して契約してもらっており、問題ない。本当に効果がないなら事業として成り立たないはずだ」と話した。共同通信はクリニック側の見解を問うため医療法人などに質問状を送付したが、16日までに回答はなかった。

高齢者の孤独死がコロナ前より倍増 25人(17~19年度)→56人(20~22年度)、関連は不明 鹿児島市

鹿児島市は11日、2020~22年度に孤独死した1人暮らしの高齢者が計56人だったと明らかにした。市地域福祉課によると、新型コロナウイルスが感染拡大する前の17~19年度は計25人で2倍以上に増えた。市議会個人質問への答弁。

 死者数は20年度10人、21年度23人、22年度23人。孤独死に関する国の定義や統計はなく、「65歳以上の1人暮らしで誰にもみとられずに亡くなり、死後2日以上たって発見され、市町村が把握したもの」という鹿児島県独自の定義に準じている。

 同課は「孤独死数の増加とコロナ禍の関連については、分析できていない」と説明した。

 市は金融機関やガス会社など3事業所と見守り活動の連携協定を結んでいる。20~22年度は県と協定を結ぶ1事業所を含めた4事業所から計52件の通報があった。配達員が新聞がたまっていることに気付き、屋内で倒れていた住民が一命をとりとめたケースもあったという。

 市長寿支援課は24年度、高齢者が万が一に備えて家族らと話し合うきっかけとして、エンディングノートの無料配布を検討している。相続や葬儀の希望、家族の緊急連絡先などを記入できる。市役所の窓口や医療機関、福祉施設に置く予定となっている。

2024年度診療報酬改定への意見を両論併記で提出、中医協

中医協総会(会長:小塩隆士・一橋大学経済研究所教授)は12月13日、2024年度診療報酬改定について武見敬三厚生労働相宛ての意見書を取りまとめた。改定率について支払側の「患者の負担増や保険料の上昇に直結する安易な診療報酬の引き上げを行う環境にはなく」、診療側の「従来以上の大幅なプラス改定が求められているところ」とする両方の意見を併記し、「全ての国民が質の高い医療を受け続けるために必要な取組についての協議を真摯に進めていく」との基本認識は一致を見たとしている(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 支払側と診療側は、医療経済実態調査を踏まえ、12月8日の中医協総会でそれぞれ意見を述べていた(『診療側「異例の状況に対応できる大幅なプラス改定」要望』を参照)。それを踏まえて公益側が取りまとめたのが意見書で、改定率をめぐっては両側の意見の隔たりが大きいことから、意見の集約は見送られた。近く政治決着する見通し。

今夏、医療崩壊寸前となり緊急会議、会員の結束で乗り切る‐大原正範・函館市医師会会長に聞く

 2023年4月に函館市医師会の会長に就任した大原正範氏。同医師会はこれまで時代に応じた事業を展開し、地域医療へ貢献してきた。一方で時代の変化に伴い、新たな課題も生じてきていると言う同氏に、地域の医療機関や行政との連携における工夫や今後の展望などについて話を聞いた。函館市医師会の課題である財務の健全性について、その背景にはかつて事業をスタートさせた時代とは社会が変わったという事情もあるのでしょうか。

 十分にあります。例えば、函館市医師会健診検査センターにおいても、かつての時代ほど高い需要はありません。以前は函館市に検査センターがほとんどなかったために開業しましたが、現代は大手の検査会社が地域に営業所を持っています。さらには強烈な売り込み合戦が行われ、われわれは民間の会社と値引き競争をするほどの体力はないわけです。そういった現状で、昭和と同じようなビジネスモデルでやっていくことは果たして正しいのかということまで含めて考える必要があります。しかし、実は数年前に老朽化した設備を新築して移転したばかりなので、存続させる方向で考えなければと思っているところです。

 また、函館市医師会病院についても同じような状況です。かつて昭和の頃は開業医の先生方が患者さんを入院させる際、大きな病院へ依頼するのはなかなか敷居が高く、自身の出身大学などの伝手を頼らざるをえないケースが多くありました。そういった状況を鑑み、地域の医師みんなが使い勝手の良い病院を作ろうということで設立されました。しかし現在では、これまで医師会病院が担っていた急性期医療の分野に関しては、人口減少などによって将来供給過剰になるといわれています。地域医療構想においても病院のダウンサイジングが求められている中、今後医師会病院はどう立ち回るべきか考えているところです。

保険証廃止「適切に判断」 厚労相、総点検12日公表

武見敬三厚生労働相は8日の記者会見で、マイナンバーカードを使ったマイナ保険証に一本化するため健康保険証を来年秋に廃止する政府方針に関し「集計中のマイナンバー総点検の結果を踏まえ適切に判断したい」と述べた。政府筋は、マイナンバーのトラブルを受けた総点検の結果を12日にも公表するとの認識を示した。

 岸田文雄首相が、保険証の廃止時期を巡り、どう判断するかが焦点となっている。

 武見氏は「現時点で何らかの方向性を決定したという事実はまだない」と語った。国民の不安を払拭するための措置を徹底する考えも示した。

 マイナンバー制度を所管する河野太郎デジタル相は8日の記者会見で、来年秋の廃止方針に「問題はない」と従来通りの見解を示した。マイナンバー総点検については「結果がまとまり次第、公表する」と述べ、詳しい日程を明かさなかった。

 首相は今国会で「ひも付けの総点検と修正作業を見定め、さらなる期間が必要と判断された場合には必要な対応を行う」と説明している。

緩和ケアそば支えに 中央の診療所で無償提供

中央市成島のホスピス診療所「玉穂ふれあい診療所」(土地邦彦院長)で、甲府市のそば店「川田奥藤第二分店」の店主名取信造さん(60)が月1回、入院患者らに手打ちそばを無償提供している。活動を続けて1年余り。終末期医療を受ける患者らの楽しみになっているといい、名取さんは「そば職人として人生の最期を穏やかに迎えるお手伝いができればうれしい」と話している。

 そばの提供は昨年9月から。診療所に歌や絵を届ける活動をしている友人に刺激を受け、「自分もそば職人として何かできないか」と思い立った。入院患者の多くは、末期がんなどで緩和ケアを受ける人たち。38年前に肝臓がんで亡くなった母・重子さん(享年50歳)の姿を重ね、「当時の母親にしてあげられなかったことをしてあげたい、という思い。最期の時を穏やかに過ごせるよう少しでも役に立ちたい」と話す。

 毎月後半の店の定休日、入院患者と職員ら50~60人分の手打ちそばとつゆ、割りだし、揚げ玉などを診療所に届ける。診療所の調理担当者が患者の状態に合わせ、一口サイズに切ったり、細かく刻んだりして提供している。

 「おいしい。幸せだ」と涙を浮かべて食べる人、長く食事が取れない状態だったのにそばを食べ、つゆまで飲み干し、家族とそばを食べに行った思い出話を語る人も。長田牧江統括看護師長(71)は「ここに入院している患者さんは一食一食が最後の食事になるかもしれない。名店の味を届けてもらい、患者さんたちの口を幸せにしてくれる尊い活動」と感謝する。

 感染対策などのため、名取さんは食べているところは直接見ていないが、職員から患者たちの様子を聞くと励みになるという。活動は「自分の世界だけじゃなく、まわりに目を向けるきっかけになっている」と言い、「自分がそばを打てるうちは続けていきたい」と話している。

介護施設で食事のゼリーで窒息死、2365万円支払い命じる 広島地裁、広島市佐伯区の施設側に

広島市佐伯区の介護施設で2021年7月、入所していた90代の男性がゼリーを喉に詰まらせて窒息し、死亡したのは施設職員が男性の誤嚥(ごえん)を防ぐ義務を怠ったことなどが原因として、広島市内に住む60代の長男が施設を運営する社会福祉法人に3465万円の損害賠償の支払いを求めた訴訟の判決が6日、広島地裁であった裁判長は施設側の責任の一部を認め、平和会に2365万円の支払いを命じた。

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