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認知症「レビー小体型」知って 患者の樋口さん 症状や不安 本に

幻視や抑うつ症状などが出る「レビー小体型認知症」の当事者、樋口直美さん(53)=千葉県=が、病気に気付いてから実名で病を公表するまでの日記をまとめた「私の脳で起こったこと」を出版した。

 樋口さんは41歳で「うつ病」と誤診され、約6年も誤った薬物治療を続けた。2012年9月、インターネットなどで調べて若年性のレビー小体型認知症を疑い、同10月に専門医を受診。13年6月に正式な診断を受け治療開始。今年1月に東京の会合で実名で体験を語った。本はこの2年4カ月の日記をまとめている。

 レビー小体型ははっきりした幻視、手足の震えなどの症状が現れるが、日によって症状の変化が激しい。物忘れ、場所や時間が分からなくなるなどの認知障害が、出ないこともある。認知症の中では「アルツハイマー型」「血管性」に次ぎ3番目に多く、約2割を占めるが、あまり知られていない。

 40年間、日記を書き続けている樋口さんは病気の不安も生々しく記録している。いるはずのない虫や人間が見え、仕事でミスが続く。「私はいつ病気に脳を乗っ取られるのだろうか」「死ぬことは恐(こわ)くない。理性を失うこと、言葉を失うことが恐ろしい」(12年10月)

 一般的に、認知症の人は家族の顔まで忘れる、人格も失うなどのイメージが強い。体調が改善するにつれ「認知症という言葉は、深く誤解され、既に広く侮蔑(ぶべつ)的に使われている」(13年11月)「脳の機能の一部を失ったからといって、知性を失う訳ではない。記憶を失ったとしても思考力を失う訳ではない」(14年8月)など、病への無理解を嘆き、憤る。

 現在、血圧や心拍数が安定しない自律神経障害は残るが、幻視などはなく家事や講演もこなす。「毎日楽しく笑って過ごせば、どんな薬よりも効くのだ」(同10月)「周囲の誰もが味方で、心安らぐ『ホーム』の環境にあれば、妄想も生まれない、少なくとも周囲を困らせるような妄想は生まれないのではないか?」(同12月)と記す。

 樋口さんは「当事者を追い詰めているのは周囲の無知。多くの人が正しく病気を理解し、誰もが自然に受け入れられる社会なら、当事者のストレスは軽くなるはず」と訴えている。

「地域医療」ラジオCMで 旭川医大生の作品、FMで放送

全国の大学生や専門学校生を対象に、自分の学校の魅力をアピールするラジオCM原稿を募集する「JFN学生ラジオCMコンテスト」で、旭川医大4年の遠藤ゆきのさん(21)が「北海道・東北ブロック賞」を受賞した。道内からの入賞は2人目。地域医療に携わる喜びを表現しており、医療を学ぶ学生の受賞は珍しいという。主催した全国FM放送協議会(JFN、全国38局)に加盟するAIR―G’(FM北海道)が16日まで、遠藤さんの作品を基に制作したCMを放送した。

 コンテストは、学生にラジオの魅力を認識してもらう狙いで、4回目の今回は約2500通の応募があった。参加者は40秒か20秒のCM原稿を応募。書類による2次選考を通過した学生の原稿を使い、JFN加盟局がCMを制作。最終選考で、漫画家の弘兼憲史さんらがCMを審査し、遠藤さんは最優秀、優秀各賞に次ぐ北海道・東北ブロック賞に選ばれた。

 作品は故郷の病院で働く男性医師が、幼少期を回想しつつ「このマチに恩返しをしたい」と誓う内容。最後に「地域医療のプロになろう。旭川医科大学」というナレーションが流れた。

女子大生、人工呼吸で回復 沖縄、溺れて一時意識不明

13日午前10時20分ごろ、沖縄県竹富町・西表島にある星の砂海岸で、シュノーケリングをしていた東京都の私立女子大生(18)が溺れた。一時意識不明に陥ったが、一緒にいた友人や教員らが心臓マッサージや人工呼吸をした結果、意識を取り戻した。県警八重山署によると、命に別条はないという。

 大学生は宿泊研修で沖縄を訪問。教員や友人ら25人でシュノーケリングをしていて、海岸近くの水深1~2メートルで溺れた。監視員はいなかった。

介護利用、588万3千人 14年度、過去最多

 2014年度に介護予防と介護サービスを利用した人が過去最多の計588万3千人だったことが6日、厚生労働省の介護給付費実態調査で分かった。13年度を22万2500人上回り、本格的に調査を開始した03年度と比べて約1・6倍に増えた。高齢化が進み、利用者数は右肩上がりの状態が続いている。

 介護サービス別の内訳では、通所介護が前年度比9万7千人増の184万5千人、訪問介護が2万8千人増で142万人だった。施設サービスの利用者は、特別養護老人ホームが62万人、老人保健施設は53万9千人といずれも増加する一方、介護型療養病床は10万5千人で、前年度から7千人減った。

 受給者1人当たりの給付費(今年4月審査分)は、介護予防サービスが4万1千円、介護サービスが19万1300円。都道府県別で見ると、介護予防サービスは福井の4万4千円が最も高く、介護サービスは沖縄の21万2400円が最高だった。

生活保護世帯が最多更新 5月、厚労省調査

厚生労働省は5日、全国で生活保護を受けている世帯は5月末時点で162万2525世帯となり、過去最多を更新したと発表した。前月比1601世帯増で、これまで最多だったことし3月を超えた。受給者数は前月比1972人減の216万1442人だった。

 世帯別(一時的な保護停止を除く)では、65歳以上の高齢者世帯が増え続けており、79万3658世帯と1年前と比べて5・6%伸びた。全体の約49%で、厚労省によると単身が約9割を占めるという。

 働ける世帯を含む「その他の世帯」は1年前と比べて3・2%減の27万4398世帯だった。厚労省は受給世帯が増える一方、人数が減った原因について「増加している高齢者世帯の単身化が進み、それ以外の世帯が雇用状況の改善などで減少傾向にあることが影響している」と分析。

 生活保護に至る手前の新たなセーフティーネットとして生活困窮者自立支援制度が4月から始まったが、影響は分からないとしている。

スマートフォンは心臓ペースメーカーに影響を及ぼすのか

スマートフォンは、心臓ペースメーカーや除細動器などの埋め込み型医療機器から離して使用すべきであることが、新たな研究で示唆された。ペースメーカーを入れている人もスマートフォンを使用できるが、機器近くのポケットなどに入れることは避け、使用時は機器とは反対側の耳に当てる方がよいという。

 研究グループによると、ペースメーカーはスマートフォンが発する電磁波干渉(EMI)を心臓信号と「誤認」し、作動を停止してしまうことがあるという。この停止時間はわずかだが、患者の失神を引き起こしうる。また、スマートフォンの干渉を異常な心拍リズムと解釈して、患者に電気ショックを与えてしまう可能性もある。

 米国食品医薬品局(FDA)はすでに、携帯電話を埋め込み型医療機器から12~18 cm離して使用することを推奨しているが、この指針はスマートフォンが世に出る前の古い研究に基づくものだという。

 今回の研究では、300人以上の患者を対象に、サムソン、ノキア、HTC製の3種のスマートフォンを、心臓機器を埋め込んだ部位の皮膚に直接当て、無線通信テスターを用いて発信、着信、通話、切断による影響を調べた。各患者の心電図を絶えず記録し、問題の徴候がないかを監視した。

 3,400回を超える試験の結果、スマートフォンの干渉による影響がみられた患者は1人のみだった。この患者はMRI適合型の除細動器を埋め込んでおり、ノキアおよびHTCの製品で電磁波が誤認識された。この知見から、スマートフォンと心臓機器の「干渉」は「めったにないが、起こり得るものである」ことが示唆されると、研究の筆頭著者であるドイツ心臓センターのCarsten Lennerz氏は述べている。

 別の研究では、高圧電線による埋め込み機器への影響についても検討されている。カナダ、モントリオール心臓研究所のKatia Dyrda氏らは、5社が製造する40種類のペースメーカーや除細動器をほぼ胸の高さで生理食塩水の水槽に入れた状態で、高電圧の電場に曝露させた。その結果、通常設定のペースメーカーでは影響はなかったが、高感度に設定された機器では影響が認められた。「患者は高圧電線の下を通るのを避ける必要はないが、真下に立つのはよいこととはいえない」とDyrda氏は助言している。ただし、自動車に乗っている場合は車体が影響を遮蔽してくれるため心配ないという。

 この知見はイタリア、ミラノで開催された欧州心臓律動学会(EHRA)会議で発表された。学会発表された研究は一般に、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

ボタン電池誤飲、都が防止策検討へ 10年以降、事故157件・入院23件

小型家電や玩具に使われるボタン電池を子どもが誤飲する事故が後を絶たないことから、東京都が6日、業界団体や学識者たちと対策の検討に乗り出した。子どもが製品のふたや電池の包装を開けにくいように工夫ができないか実験し、年内にも提言をまとめる。

 東京消防庁や国立成育医療研究センター(東京)の事故データを都が集計したところ、5歳以下の乳幼児が誤飲や誤飲の疑いで受診したり救急搬送されたりした事例は2010年以降157件。このうち入院が23件あった。誤飲すると食道につまりやすく、粘膜に触れて食道や気管に穴が開くこともあるという。

 誤飲の形態別では、誤飲した電池がおもちゃに入っていた事例は35件、時計や体温計など玩具以外の製品に入っていた事例が50件で、放置・保管中が24件あった。年齢別では、1歳が83件と5割以上を占めた。

 都によると、玩具は日本玩具協会が「ふたは容易に開かない構造にする」などの安全基準がある一方、家電はメーカーの判断に任されている。

AED講習:助かる命、増えてほしい 心肺停止で一命取り留め、FCmm・田中奨さんが都内で

フットサル関東1部リーグに所属し、千葉市が本拠地の「FCmm」の田中奨さん(22)が、試合中にボールが胸を直撃して心肺停止となりながらも、AED(自動体外式除細動器)によって一命を取り留めた自身の経験から、AEDの使い方講習会を東京都墨田区の「フットサルポイント両国」で開いた。

 講習会は今月5日に開催され、約20人が参加。練習中に急性心筋梗塞(こうそく)で急逝したサッカー元日本代表DF、松田直樹さんの功績を伝えている一般社団法人「松田直樹メモリアル」顧問の山口幸伸さん(39)が講師を務めた。患者が発生して救急車の出動を要請し、心臓マッサージをしつつ、AEDを活用する想定で、AEDの音声に従いながら使用方法を学んだ。山口さんは「直樹のような事故が現実にたくさん起きている。こういう機会にAEDの使い方を覚えてほしい」と語った。

 田中さんは今年5月、都内で試合中に事故に遭ったがAEDで救われ、「僕のように助かる人がもっと増えてほしい。これからも講習を続けていきたい」と話す。

 田中さんの高校の同級生で、事故当時に会場に居合わせた葛飾区の歯科衛生士、宮良里沙さん(22)も講習会に参加。「目の前で田中さんが倒れて、頭が真っ白になって何もできなかった。後悔したので講習に参加した。次はAEDを使えると思う」。夫婦で参加した豊島区の会社員、小沼誠さん(37)は「1%でも救える可能性があるなら、やれることはやってみようという気持ちになった」とAEDの意義を感じていた。

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