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介護利用、588万3千人 14年度、過去最多

 2014年度に介護予防と介護サービスを利用した人が過去最多の計588万3千人だったことが6日、厚生労働省の介護給付費実態調査で分かった。13年度を22万2500人上回り、本格的に調査を開始した03年度と比べて約1・6倍に増えた。高齢化が進み、利用者数は右肩上がりの状態が続いている。

 介護サービス別の内訳では、通所介護が前年度比9万7千人増の184万5千人、訪問介護が2万8千人増で142万人だった。施設サービスの利用者は、特別養護老人ホームが62万人、老人保健施設は53万9千人といずれも増加する一方、介護型療養病床は10万5千人で、前年度から7千人減った。

 受給者1人当たりの給付費(今年4月審査分)は、介護予防サービスが4万1千円、介護サービスが19万1300円。都道府県別で見ると、介護予防サービスは福井の4万4千円が最も高く、介護サービスは沖縄の21万2400円が最高だった。

生活保護世帯が最多更新 5月、厚労省調査

厚生労働省は5日、全国で生活保護を受けている世帯は5月末時点で162万2525世帯となり、過去最多を更新したと発表した。前月比1601世帯増で、これまで最多だったことし3月を超えた。受給者数は前月比1972人減の216万1442人だった。

 世帯別(一時的な保護停止を除く)では、65歳以上の高齢者世帯が増え続けており、79万3658世帯と1年前と比べて5・6%伸びた。全体の約49%で、厚労省によると単身が約9割を占めるという。

 働ける世帯を含む「その他の世帯」は1年前と比べて3・2%減の27万4398世帯だった。厚労省は受給世帯が増える一方、人数が減った原因について「増加している高齢者世帯の単身化が進み、それ以外の世帯が雇用状況の改善などで減少傾向にあることが影響している」と分析。

 生活保護に至る手前の新たなセーフティーネットとして生活困窮者自立支援制度が4月から始まったが、影響は分からないとしている。

スマートフォンは心臓ペースメーカーに影響を及ぼすのか

スマートフォンは、心臓ペースメーカーや除細動器などの埋め込み型医療機器から離して使用すべきであることが、新たな研究で示唆された。ペースメーカーを入れている人もスマートフォンを使用できるが、機器近くのポケットなどに入れることは避け、使用時は機器とは反対側の耳に当てる方がよいという。

 研究グループによると、ペースメーカーはスマートフォンが発する電磁波干渉(EMI)を心臓信号と「誤認」し、作動を停止してしまうことがあるという。この停止時間はわずかだが、患者の失神を引き起こしうる。また、スマートフォンの干渉を異常な心拍リズムと解釈して、患者に電気ショックを与えてしまう可能性もある。

 米国食品医薬品局(FDA)はすでに、携帯電話を埋め込み型医療機器から12~18 cm離して使用することを推奨しているが、この指針はスマートフォンが世に出る前の古い研究に基づくものだという。

 今回の研究では、300人以上の患者を対象に、サムソン、ノキア、HTC製の3種のスマートフォンを、心臓機器を埋め込んだ部位の皮膚に直接当て、無線通信テスターを用いて発信、着信、通話、切断による影響を調べた。各患者の心電図を絶えず記録し、問題の徴候がないかを監視した。

 3,400回を超える試験の結果、スマートフォンの干渉による影響がみられた患者は1人のみだった。この患者はMRI適合型の除細動器を埋め込んでおり、ノキアおよびHTCの製品で電磁波が誤認識された。この知見から、スマートフォンと心臓機器の「干渉」は「めったにないが、起こり得るものである」ことが示唆されると、研究の筆頭著者であるドイツ心臓センターのCarsten Lennerz氏は述べている。

 別の研究では、高圧電線による埋め込み機器への影響についても検討されている。カナダ、モントリオール心臓研究所のKatia Dyrda氏らは、5社が製造する40種類のペースメーカーや除細動器をほぼ胸の高さで生理食塩水の水槽に入れた状態で、高電圧の電場に曝露させた。その結果、通常設定のペースメーカーでは影響はなかったが、高感度に設定された機器では影響が認められた。「患者は高圧電線の下を通るのを避ける必要はないが、真下に立つのはよいこととはいえない」とDyrda氏は助言している。ただし、自動車に乗っている場合は車体が影響を遮蔽してくれるため心配ないという。

 この知見はイタリア、ミラノで開催された欧州心臓律動学会(EHRA)会議で発表された。学会発表された研究は一般に、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

ボタン電池誤飲、都が防止策検討へ 10年以降、事故157件・入院23件

小型家電や玩具に使われるボタン電池を子どもが誤飲する事故が後を絶たないことから、東京都が6日、業界団体や学識者たちと対策の検討に乗り出した。子どもが製品のふたや電池の包装を開けにくいように工夫ができないか実験し、年内にも提言をまとめる。

 東京消防庁や国立成育医療研究センター(東京)の事故データを都が集計したところ、5歳以下の乳幼児が誤飲や誤飲の疑いで受診したり救急搬送されたりした事例は2010年以降157件。このうち入院が23件あった。誤飲すると食道につまりやすく、粘膜に触れて食道や気管に穴が開くこともあるという。

 誤飲の形態別では、誤飲した電池がおもちゃに入っていた事例は35件、時計や体温計など玩具以外の製品に入っていた事例が50件で、放置・保管中が24件あった。年齢別では、1歳が83件と5割以上を占めた。

 都によると、玩具は日本玩具協会が「ふたは容易に開かない構造にする」などの安全基準がある一方、家電はメーカーの判断に任されている。

AED講習:助かる命、増えてほしい 心肺停止で一命取り留め、FCmm・田中奨さんが都内で

フットサル関東1部リーグに所属し、千葉市が本拠地の「FCmm」の田中奨さん(22)が、試合中にボールが胸を直撃して心肺停止となりながらも、AED(自動体外式除細動器)によって一命を取り留めた自身の経験から、AEDの使い方講習会を東京都墨田区の「フットサルポイント両国」で開いた。

 講習会は今月5日に開催され、約20人が参加。練習中に急性心筋梗塞(こうそく)で急逝したサッカー元日本代表DF、松田直樹さんの功績を伝えている一般社団法人「松田直樹メモリアル」顧問の山口幸伸さん(39)が講師を務めた。患者が発生して救急車の出動を要請し、心臓マッサージをしつつ、AEDを活用する想定で、AEDの音声に従いながら使用方法を学んだ。山口さんは「直樹のような事故が現実にたくさん起きている。こういう機会にAEDの使い方を覚えてほしい」と語った。

 田中さんは今年5月、都内で試合中に事故に遭ったがAEDで救われ、「僕のように助かる人がもっと増えてほしい。これからも講習を続けていきたい」と話す。

 田中さんの高校の同級生で、事故当時に会場に居合わせた葛飾区の歯科衛生士、宮良里沙さん(22)も講習会に参加。「目の前で田中さんが倒れて、頭が真っ白になって何もできなかった。後悔したので講習に参加した。次はAEDを使えると思う」。夫婦で参加した豊島区の会社員、小沼誠さん(37)は「1%でも救える可能性があるなら、やれることはやってみようという気持ちになった」とAEDの意義を感じていた。

乱暴な介助、職員を懲戒解雇 岩手県奥州市の施設

奥州市江刺区岩谷堂のサービス付き高齢者向け住宅で、同市の30代男性職員が入居する80代女性3人に乱暴な介助を行ったとして、懲戒解雇されていたことが9日分かった。

 施設によると、7月1日朝、被害に遭った女性のうち1人の家族が面会に訪れた際、女性から「職員にたたかれた」と言われ、施設に報告した。

 前日の6月30日夜に女性の介助を担当した男性職員に事情を聴いたところ、寝かせようと強い力で体を押すなどしたことを認めた。女性の左手と左すねにはあざがあった。

 施設の運営者は、入居者の権利侵害に加え、男性が以前勤めていた介護施設でも同様の行為をしていたことが分かり、3日付で懲戒解雇処分とした。市と県に報告書を提出し、施設長ら2人を8日付でけん責処分とした。

在宅医療の強化焦点 診療報酬改定の議論開始

 厚生労働省は9日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会を開き、医療サービスの対価となる診療報酬の2016年度改定に向けた議論を開始した。在宅医療の強化や病院ベッドの機能転換をどう促すかが焦点となりそうだ。

 部会は、11月下旬から12月上旬に改定の基本方針をまとめる。政府は年末の予算編成過程で全体の改定率を決定。中央社会保険医療協議会(中医協)が個別の報酬額を議論し、来年2月中旬に詳細が固まる。

 在宅医療の推進では、入院患者が自宅で安心して療養生活を送るため、退院時にスムーズに在宅医療や介護につなげる仕組みづくりやスタッフの充実が課題となる。

 病床は高度な医療を行う急性期向けが多いが、政府はリハビリに注力する回復期向けの病床を増やすことを目指している。薬局については、在宅患者に服薬指導する機能を強化する。

 診療報酬の財源は健康保険料や患者の窓口負担、公費で賄う。14年度の前回改定は全体で0・1%の増額改定だった。報酬増額は医療の充実につながる一方、国民の負担増にも結び付く。

抗菌治療の肺炎患者、死亡リスク因子同定- 予後改善に向けた治療開発の可能性も

名古屋大は、同大大学院医学系研究科の長谷川好規教授(呼吸器内科学分野)らの研究グループが、適切に初期抗菌薬が投与されていても予後不良となる患者のリスク因子を明らかにしたと発表した。肺炎発症前の自力歩行困難といったリスク因子を挙げており、研究グループは「予後改善に向けた治療開発につながる」と期待している。

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