名古屋大は、同大大学院医学系研究科の長谷川好規教授(呼吸器内科学分野)らの研究グループが、適切に初期抗菌薬が投与されていても予後不良となる患者のリスク因子を明らかにしたと発表した。肺炎発症前の自力歩行困難といったリスク因子を挙げており、研究グループは「予後改善に向けた治療開発につながる」と期待している。
名古屋大は、同大大学院医学系研究科の長谷川好規教授(呼吸器内科学分野)らの研究グループが、適切に初期抗菌薬が投与されていても予後不良となる患者のリスク因子を明らかにしたと発表した。肺炎発症前の自力歩行困難といったリスク因子を挙げており、研究グループは「予後改善に向けた治療開発につながる」と期待している。
座長:北海道歯科医師会 常務理事
医療法人回生会大西病院 歯科口腔外科 部長 鳥谷部純行
演者:旭川医科大学内科学講座病態代謝内科学分野 講師 安孫子亜津子
1.なぜ糖尿病の血糖値をコントロールするのか?
2.糖尿病のおもな慢性合併症~三大合併症が進行すると・・・
3.年別透析導入患者の主要原疾患の割合推移
4.糖尿病と他疾患との関係
5.糖尿病と歯周病は互いに関連している
6.糖尿病治療の目標、血糖コントロールの目標
7.糖尿病の治療を受けていない人がたくさんいる
8.進展ステージごとの治療指針と介入方法
9.都道府県における糖尿病対策推進会議
10.糖尿病の大きな問題
11.肥満、高血圧、高血糖、高脂血症の合併で、心血管疾患の発症が増える
12.メタボや境界型糖尿病に対する早期介入の必要性
13.糖尿病の早期診断と早期介入
14.「糖尿病連携手帳」の活用(日本糖尿病協会発行第2版)
15.合併症を早期発見するために
16.糖尿病患者さんの定期診療で検査すること
17.糖尿病性腎症早期診断の診断基準と早期発見のポイント
18.網膜症、大血管障害・動脈硬化症の早期発見のポイント
19.糖尿病患者の冠動脈疾患の特徴
20.歯科通院・治療歴の聴取、歯周病と糖尿病の関係
21.機能的な病診連携の確立
NTT東日本札幌病院 内科診療部長・糖尿病内分泌内科部長 吉岡成人
・2型糖尿病の増加と合併症の実態
1.血糖値がどのくらいになると糖尿病?
~血糖値による糖尿病の診断根拠
2.糖尿病とその予備軍の合計は2050万人
~日本はまさに糖尿病列島!
3.「糖尿病が強く疑われる者」における治療の状況
4.透析導入患者および維持透析患者の疾患別年次推移
5.糖尿病による足病変は、多くの原因が重なって発症する
6.糖尿病患者では、虚血性心疾患の合併が予想外に多い!
・糖尿病患者における併発症
1.糖尿病と併発しやすい疾患(糖尿病関連疾患)
2.糖尿病と癌リスク~メタアナリシスとプール解析
3.糖尿病と認知症、骨粗鬆症、うつ病、歯周病との関連
・高齢化社会にむかう糖尿病の治療
1.高齢化社会から高齢社会への到達年数の国際比較
2.60歳以上の糖尿病患者、糖尿病予備軍はこの10年でさらに増加している
3.80歳以上の高齢糖尿病患者における治療の実態
4.ADAコンセンサスアルゴリズム2015
5.病態に合わせた経口血糖降下薬の選択
6.糖尿病標準診療マニュアル
7.J-EDlT(Japanese Elderly Diabetes lntervention Trial)研究について
8.大血管障害(狭心症、心筋梗塞、脳卒中、ASO等)の初発とHbA1cの関連
9.血糖コントロール目標~高齢者の血糖管理は”the lower,the better”ではない
人工呼吸をせず、心臓マッサージ(胸骨圧迫)だけを行う心肺蘇生法の普及が、心停止した人の社会復帰数の増加に大きく貢献しているという調査結果を、京都大環境安全保健機構の石見拓教授や川村孝教授のグループが11日に発表した。日本は胸骨圧迫だけの蘇生法を学会レベルで唯一推奨している国で、その正しさを裏付けたという。
心肺蘇生の在り方をめぐっては、人工呼吸と胸骨圧迫を併用した方法が長年標準とされてきた。一方、胸骨圧迫だけでも救命率は変わらないとする研究報告があり、日本では近年、市民による心肺蘇生の実施率の向上を目指し、人工呼吸を省く方法が多く取り入れられている。
グループは、2005年から12年までに国内で心停止によって救急搬送された患者約81万6千人について、市民による蘇生の有無や種別、社会復帰の状況などを調べた。胸骨圧迫だけの蘇生を受けた人の割合は05年の17・4%から12年には39・3%に増加。胸骨圧迫だけで社会復帰できた人も、人口1千万人当たりの換算で05年の0・6人から28・3人に増えていた。
石見教授は「胸骨圧迫だけの蘇生は、人工呼吸を伴う場合に比べて簡単。多くの人を対象にした講習が実施しやすく、蘇生の普及に有効だ」と説明。その上で「人工呼吸は子どもの心停止に有効とのデータもあり、学校の先生らにはオプションの講習として実施するのが望ましい」と話している。
人口超大国・中国で60歳以上の高齢者は2億人を超え、国民の約15%を占める。2世代以上にわたる一人っ子政策や平均寿命の延びで、国連は中国の高齢化が「世界最速」で進むと分析。強引な人口抑制の裏で1人暮らしのお年寄りが急増するなど、難問が噴出しているが対応が追いつかず、高齢者福祉は深刻な課題となっている。
南砺市民病院(南砺市井波、清水幸裕院長)は、食べる力が衰えて人工栄養法を導入した高齢患者に、専門チームによる治療やリハビリを行った結果、約60%が自力で食べられるまでに回復し、1年後もその状態を維持している人が25%に上るという成果を得た。いずれも、チーム医療導入前の2倍近くに上り、きめ細かな診断に基づく治療や訓練による効果がうかがえた。全国的にも数少ない取り組み。13日から茨城県で開かれる学会で発表する。
チームは、総合診療科医師や看護師、歯科医、リハビリスタッフら14人で構成。2013、14年度に肺炎を主とする感染症や脳卒中などの治療を終え、人工栄養法を導入した70歳以上の患者を対象に、ケアを実施した。
データがまとまったのは、13年度に同意を得た患者47人分。ほぼ全てが寝たきりや歩けない人だった。食べられない原因を分析したところ、治療済みの疾患とは異なる疾患に起因するケースが35%と、最も多かった。チーム中心メンバーの荒幡昌久臨床教育・研究センター長は「検査項目を増やしたことで、潜在的な疾患を突き止められるようになった」と理由を説明する。
認知症と似た症状が現れる心不全、ビタミンB1欠乏、ホルモン代謝異常などが目立ち、これらを治療することで、食べる力が回復した。疾患の特徴に応じた飲み込み訓練や、リハビリによる改善効果もあったという。
重い認知症や意識障害が原因となっているケースは29%と2番目に多く、投薬や、食事場所を自室から食堂に変更するなど気分転換を促す配慮が効果的だった。
これらの取り組みにより、47人のうち、食べられるようになったのは60%にあたる28人。1年後の時点で、食べる力を維持していたのは47人のうち25%を占めた。
チームによる治療やケア導入前の11年度は、食べられるようになった人が35%、1年後に食べる力を維持していた人が14%にとどまっており、13年度はともに2倍近くに伸びた。
高齢者の終末期医療に詳しい名古屋大附属病院卒後臨床研修・キャリア形成支援センター長の植村和正教授は「60%が再び食べられるようになったというのは驚くべき成果。食べられない原因を老衰や加齢などと(ひとくくりに)せず、診断によって、しっかりと見極めたからだろう」と高く評価している。
取り組みの成果は13、14日、茨城県つくば市で開かれる日本プライマリ・ケア連合学会学術大会で発表する。荒幡センター長は「学会の意見も参考に、診断や治療技術をさらに高めたい」としている。
本年度は、14年度に治療やケアを実施した人の1年後の状態を確認し、データをさらに充実させる。
◆人工栄養法◆
食べることができなくなった場合に適用される手法で、管を胃につないで流動食を送る「胃ろう」や点滴などがある。延命に効果的とされる一方、流動食が食道を逆流し、肺炎を引き起こすなど苦痛をもたらすケースもあり、導入をめぐる評価は分かれる。日本老年医学会(東京)が2012年にまとめた指針では、導入しないことや、導入後に中止することも選択肢として示した。
赤磐医師会病院(赤磐市下市)のスタッフでつくる「あかいわチームクッキング」は、かんだり、飲み込んだりするのが難しくなったお年寄りでも食べやすい「嚥下(えんげ)食」をまとめたレシピ集「きょうもいっしょに食べよ!」を出版した。医師や管理栄養士が約1年半をかけて研究。家庭で手間を掛けずに簡単にできる調理法を紹介している。
執筆したのは、副院長で内科医の柚木直子医師(51)と管理栄養士の上山ひさよさん(63)、草谷悦子さん(55)、勝井美紀さん(40)、伊達愛さん(31)の5人。
のどを通りやすくする市販の「とろみ剤」を使った通常の嚥下食よりもおいしく食事ができるようにと、2013年秋から試作。食材の硬さ、粘度を調整するため、試作を何度も繰り返してきた。
メニューは全61種類。うどんや食パンなど主食のほか、コロッケ、エビフライなどの総菜、レトルト食品をアレンジした調理法を分かりやすく紹介。食欲をそそるよう色鮮やかな料理の写真も添えている。
とろみ剤の代わりになる、はんぺん、わらびもち粉など“おすすめ商品”もきめ細かく収録し、購入先も記した。アップルパイやシュークリーム、マカロンなどのスイーツは、東京のパティシエの協力を得て作った。柚木医師は「家族で同じ食事を囲むことで、心の触れ合いを深めてほしい」と話している。
変形判(縦24センチ、横18センチ)、90ページで2千円(税別)。ライフサイエンス出版。6日午後2時からは、同病院会議室で嚥下食の試食会も予定している。事前の申し込みが必要。
同スタッフは2012年にはクリスマスやお月見、お正月といった季節の料理を紹介した「嚥下食レシピ集」を発刊、約4500部が売れている。
問い合わせは同病院地域医療連携室(086―955―5709)。
札幌医科大学(島本和明理事長)は5月25日、医学部の50歳代の外科系教授が、学外での兼業回数や収入を過少報告していた事実が確認されたことなどを理由に、懲戒解雇処分とした。発表は5月26日(プレスリリースは、同大のホームページ)。教授は、大学側の聞き取りに応じておらず、全容は不明だが、ここ2、3年は、「(大学からの収入を)大幅に超える給与収入」を得ながら、必要な届け出をしていなかったという。
同大学は、規定で「月に5日間まで、社会通念上許される金額」での兼業を認めていて、その金額については、「(年間で)大学からの年収を超えない金額」との申し合わせがあるという。
大学の調査や広報担当者によると、教授は北海道内の医療機関で、5、6年前から兼業を実施。回数や報酬について、一部しか報告しておらず、大学側で確認できた事実だけでも、報告していない兼業が、報告の2倍以上あり、ここ2、3年は大学からの収入を大幅に超える収入を得ていたという。学会などで道外への出張届けを出している期間中に、道内に戻って、兼業を実施し、再び道外に戻ったケースも確認された。
大学は、教授の講座が管轄する病床稼働率が低いことから、注意を実施していたが、2014年末に、大学内外の医師から、「教授が兼業規定に違反しているのでは」とする通報があった。島本理事長が事実関係を確認した際、教授は「違反はない」と回答したものの、具体的な資料の提示はなかった。2015年1月に設置された調査委員会の事情聴取にも応じず、教授は文書で「違反はない」「(出張のケースは、出張変更の)届け出を忘れていた」と説明したが、大学側の具体的な指摘事項に対する回答はなかった。大学は、教授の懲戒解雇を決め、監督者の医学部長と附属病院長について、訓告とした。
島本理事長は、「皆様の信頼を裏切り、心からお詫び申し上げる。再発防止に向けて、より一層倫理の向上を図る」旨のコメントを出した。