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気管支に栄養チューブ、90代患者死亡 徳島の病院

徳島県吉野川市の病院は4日、入院患者の90代女性がチューブで流動食を摂取中に嘔吐(おうと)し、死亡する事故が起きた、と発表した。胃に挿入したはずのチューブが気管支に入っていたことから、病院は異状死と判断し、県警に通報。医療ミスの可能性もあるとして、事故調査委員会を設置し、死因などを究明する。

 病院によると10月31日午後5時ごろ、看護師3人が患者の鼻からチューブを挿入。胃に入ったかどうかを聴診器を当てて確認し、薬液と流動食の注入を始めて退室したという。約40分後、患者が嘔吐して意識不明になっているのを巡回中の看護師が発見。その後、心肺停止状態になり、CT検査で調べたところ、チューブが右の気管支に入っていたことがわかった。間もなく死亡が確認されたが、直接の死因は不明という。

 患者は骨折で10月2日に入院。肺炎も起こし、口から食事がとれないためチューブを使っており、挿入したのは5回目だった。

 原因について病院は、最初に過ってチューブを気管支に挿入したか、嘔吐した際に何かの拍子で気管支に入ったかの二つが考えられる、と説明。橋本寛文院長は「患者と遺族に深くおわびする。誠意ある対応をし、再発防止に全力を尽くしたい」と述べた。

医療費39兆2千億円 過去最高、1人31万円弱

厚生労働省は8日、2012年度に病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた医療費の総額(国民医療費)が、前年度比6267億円増(1・6%増)の39兆2117億円だったと発表した。国民1人当たりでは5600円増(1・9%増)の30万7500円で、いずれも6年連続で過去最高を更新した。

 高齢化に加え、医療技術の高度化や薬の高額化で費用が膨らんだことが主な要因だが、入院・受診日数は減ったため、総額の増加幅は前年度の3・1%から圧縮された。国民医療費が国民所得に占める割合は11・17%。

 労災分などを除いた国民医療費の98%程度をカバーする概算医療費は、既に13年度分が公表されており、39兆3千億円に達した。厚労省は今後も増加が続くとみている。

 国民医療費を年齢別でみると、65歳以上の医療費が22兆860億円で全体の56・3%を占めた。このうち75歳以上は13兆5540億円で全体の34・6%に上った。1人当たりでは65歳以上が71万7200円、75歳以上は89万2100円だった。

 医療費を賄う財源の内訳は、国民や企業が負担する保険料が19兆1203億円で全体の48・8%。患者の自己負担は4兆6619億円(全体の11・9%)、国と地方を合わせた公費は15兆1459億円(同38・6%)。

 国民医療費は、保険診療の対象となる病気やけがの治療にかかった費用の推計。保険外の診療や健康診断、正常な出産などは含まない。

後期高齢者医療制度 保険料の特例廃止 半数以上が負担増

後期高齢者医療制度:保険料の特例廃止 半数以上が負担増

 政府は、後期高齢者医療制度の保険料を特例で軽減する措置を早ければ2016年度から段階的に廃止する。これによって、加入者約1600万人の半数を超す約865万人で負担が増し、最終的に保険料が30倍に膨らむ人も出てくる。制度見直しが保険料にどう影響するのか、年収別に整理した。

 75歳以上の後期医療の保険料は、全員が支払う「均等割り」と、一定の年収を超す人が支払う「所得割り」からなる。本来の減額制度として、低所得者(約714万人)には、収入に応じて均等割りを2割、5割、7割の3段階で軽減する仕組みがある。

 さらに75歳になるまで家族の扶養を受けて保険料を納めていなかった人(約174万人)は2年間に限り、収入にかかわらず均等割りが5割減となり、所得割りは全額免除される。

 厚生労働省が廃止を検討しているのは、こうした減額制度に上乗せした特例部分だ。均等割りが本来なら7割減の人には現在、特例で9割減か8・5割減という恩恵がある。75歳になるまで扶養を受けていた人も9割減だ。一方、所得割りは一定年収以下の約145万人(うち約23万人は均等割りも軽減)が5割減になっている。

 特例が全廃されると、夫婦世帯(妻の年金収入80万円以下)の場合、夫の年金が年80万円なら、夫婦とも毎月の保険料は今の370円から3倍の1120円に上がる。年金が150万円だと保険料は560円から1120円に倍増。夫の年金が250万円で、75歳になるまで扶養を受けていた妻は現在370円の負担が5倍の1870円に増える。

 以前に扶養を受け、現在は1人暮らしで年金が250万円ある人の場合、特例廃止に加えて本来の軽減措置が2年後になくなると、保険料は370円から30倍の1万930円にはね上がる。

保険適用の見込みを考慮 混合診療拡大で厚労省

厚生労働省は22日の中央社会保険医療協議会(中医協)で、保険診療と保険外の自由診療を併用する「混合診療」を拡大する「患者申出療養」(仮称)について、将来的にも保険適用の見込みがない治療は対象外とするなど制度運用の考え方を示した。

 患者申出療養で安全性や有効性を確認できた治療は保険適用を目指すことになっており、美容目的などの場合を対象外とすることを想定している。中医協は今後、対象外の治療を具体的に議論し、制度の骨格を年末までにまとめる。厚労省は来年の通常国会に関連法案を提出し、2016年からの実施を目指す。

 委員からは、患者が新たな医療を受けられる可能性を制限しないよう「明らかに見込みがない場合だけを対象外とするべきだ」との指摘が出た。

 また、患者が相談しやすいよう、臨床研究中核病院に専用の窓口を設けることや、国が安全性・有効性を確認する審査は原則6週間の期間にこだわらず、慎重に行うべきだとの意見が上がった。

 厚労省は、副作用の可能性や厳密な管理が必要なリスクが高い治療は、臨床研究中核病院など15カ所程度だけで実施し、それ以外の治療はほかの病院にも広げるとの考えも提示した。

群馬県立4病院 「ヒヤリ・ハット」が減少 昨年度3230件 最多は「与薬」の17.1%

県立の4病院で昨年度、患者に実害を与える前に誤った医療行為が発見された「ヒヤリ・ハット」事例の報告件数が、前年度比17%減の3230件となった。実際に発生した医療事故は6%増の940件となったが、ヒヤリ・ハットとの合計では12%減の4170件で、調査を開始した2005年度以降、初めて減少に転じた。県病院局が発表した。

 調査対象の4病院は心臓血管(前橋市)▽がん(太田市)▽精神医療(伊勢崎市)▽小児医療(渋川市)の各センター。発生が最も多かったのは火曜日、時間帯は午前10~11時台だった。内容別では薬を投与する「与薬」が17・1%で最多で、直接的な医療行為以外の「観察」が14・2%、「転倒・転落」が12・7%の順だった。

 医療事故の具体例では、ミルクアレルギーの疑いのある子どもにミルクを与え、重度のアレルギー反応「アナフィラキシー」を生じさせた事例があった。スタッフ間で情報が共有されていなかったことが要因という。このほか、車椅子の患者が移動時に転倒して骨折したり、投与禁止となっていた解熱剤を誤って投与したりする事例もあった。死亡事例は入院中の自殺と術後の合併症の2件で、家族の了解が得られていないとして詳細は公表していない。

障害者医療費で過大支給…235市町村で4億円

障害者の医療費の一部を国や市町村が負担する自立支援医療制度で、16道府県の235市町村が2012年度、計約4億2500万円を過大支給していたことが会計検査院の調べでわかった。

 障害者のうち腎不全で人工透析を受けている人は、医療保険の特定疾病制度が優先適用され、医療費のほとんどが保険で賄われるが、市町村が制度をよく理解せず、保険で賄われる分を差し引かなかった。検査院は17日、過大支給分の回収と制度の周知を厚生労働省に求めた。

 検査院が12年度の自立支援医療費を調べたところ、京都、長崎、山梨など16道府県の235市町村は、本来、特定疾病制度により保険金が支払われるはずのケースでも、自立支援医療制度に基づき医療機関から請求された通りの額を支給していた。市町村側が請求内容の確認を怠っていたとみられる。

山口)地域医療支えて13年 やぶ医者大賞の前川さん

萩市の山あいの里に、平屋建ての市国民健康保険むつみ診療所が、ひっそりとたたずむ。常勤医師は、所長の前川恭子さん(46)1人だけだ。女性医師としての誇りを胸に、地域医療を支えて13年になった。12月には、「第1回やぶ医者大賞」を受ける。

 「やぶ医者大賞」は、兵庫県養父(やぶ)市がへき地で頑張っている医師を顕彰するために創設した。「やぶ医者」の語源が「養父にいた名医」であったことにちなんだものという。前川さんは「推薦してくれた医師が自分のことを陰で評価してくれた。受賞はめっちゃうれしい」と喜ぶ。

 東京に生まれ、1歳のころ、父を亡くした。母の郷里、萩市に戻ったが、暮らし向きは厳しかった。そんなころ、テレビアニメ「母をたずねて三千里」に登場する「お金を取らない医師」にひかれた。進路担当の先生から「自治医科大に進めば学費は不要」と教えられ、医師の道へ進んだ。

 へき地の診療所は「教育の場」でもある。毎年、山口大の医学生が実習でやって来る。問診や血圧測定をしたり、訪問診療や小学校の健診に同行したり。前川さんは、医学生たちに地域医療に携わることを求めたりはしない。だが、実習を終えた学生が「地域医療への思いが強くなった」と言ってくれたときは「うれしい」という。

 診療所に勤めながら、自身の子育てにも力を入れてきた。代わりの医師がいないため、子どもを理由に診療所を休むことは難しい。だが、前川さんは、患者たちの状態を把握したうえで、あえて休みを取ってきた。診療所におけるワーク・ライフ・バランスの実践だった。

医事雑感 食べる喜び ご近所のお医者さん

 老人ホームなどの入居者に対するアンケート調査で、日常生活の関心事で一番にあげられるのは、食事といいます。高齢者にとって、食べることは何よりの楽しみです。

 Zさんは70歳を過ぎた女性で、脳梗塞(こうそく)で倒れました。一命は取り留めたのですが、左半身不随と認知障害が残りました。嚥下(えんげ)も困難となり、直接胃に栄養を入れるための胃ろうが作られました。病状が安定したので、急性期病院から回復期リハビリ病院に転院となりました。転院当初は、ほとんど寝たきりの状態で、表情も乏しく、意思疎通もはかれない状態でした。

 摂食嚥下の専門家である言語聴覚士(ST)と栄養サポートチーム(NST)が協力して、Zさんの嚥下訓練を始めることになりました。まず、レントゲン透視を用いて、嚥下状態を評価すると、水分ではむせるものの、ゼリー状のものは、何とか飲み込むことができました。ゼリー状の栄養食を少しずつ試みることにしました。

 寝たままでは飲み込みができませんので、座位になる訓練から始める必要がありました。座った状態で、ゆっくりと、STがゼリー食を食べさせました。日に日に食べる量が増えました。1カ月ほどで、柔らかいものなら嚥下できるようになり、表情が明るくなりました。簡単な会話も可能となりました。自助食器を使って、利き腕の右手で食べる訓練も始めました。NSTは必要な栄養量を計算して、胃ろうからの注入を減らしてゆきました。

 さらに1カ月ほどたった頃には、時間をかけて全粥(ぜんがゆ)刻み食を完食するまでになり、胃ろうは必要なくなりました。この頃には、夫が来ると、自分から会話を交わすようになりました。嚥下訓練を続けながら、車椅子にも挑戦しました。

 リハビリの効果もさることながら、食べることの喜びが、めざましい回復につながったように思います。半年後には、毎食にかかる時間が30分以内となりました。車椅子での自力移動も可能となり、退院の日を迎えました。夫は「こんな日が来るとは奇跡としか思えません」と言って、病院を後にしました。

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