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初の舌下免疫療法薬、10月発売へ

鳥居薬品は2日、国内で初めて承認された舌下免疫療法薬「シダトレン」が薬価収載され、10月8日に発売を開始すると発表した。同薬はスギ花粉症に対する減感作療法薬(アレルゲン免疫療法薬)で、12歳以上の小児と成人が対象。1日1回の滴下で済むが、処方は舌下減感作療法に十分な知識・経験を持つ医師に限られるなどの条件が課されている。

 シダトレンは、従来の皮下注射による減感作療法に比べ注射による痛みがなく、患者が自宅で治療できるのが特長。使用にはスギ花粉症の確定診断が必要となる。1-2週目の増量期、3週目以降の維持期で異なる用量の同薬を1日1回、舌下に滴下する。2分間保持し、飲み込んでから5分間はうがいや飲食を控えなければならない。鳥居薬品は「治療には3-5年かかり、全ての患者に効果が期待できるわけではない」としている。

アイスバケツで2千万円超 日本ALS協会に寄付

難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者や家族らでつくる日本ALS協会は2日、氷水をかぶって患者を支援する「アイス・バケツ・チャレンジ」の広がりで、8月末までの2週間に国内外の約3千人から計2747万円の寄付があったと明らかにした。例年の寄付は年間600万円程度という。治療法の研究や患者支援に活用する。

 自身も患者で、協会副会長の岡部宏生(おかべ・ひろき)さん(56)は記者会見で「無関心と知らないことで、奇異の目で見られるのは患者と家族にとって一番つらい。広く知られることをうれしく感じている」とのメッセージを発表。金沢公明(かなざわ・きみあき)事務局長は「一過性で終わらず、他の難病患者の支援にもつながることを願う」と述べた。

 協会によると、寄付とともに患者への共感や激励の声が多数寄せられた。一方、アイス・バケツ・チャレンジに関し「売名行為では」といった批判や、小学生同士で「アイスクリームをおごるか、氷水をかぶるか」というやりとりがあり「子どものいじめに使われている」との指摘もあった。

 アイス・バケツ・チャレンジは、友人に指名された人が氷水をかぶるか、支援団体に寄付するかを選択する活動。著名人の参加で注目され、氷水をかぶった上で寄付をする人も増えている。

 日本ALS協会は「自分の意思で参加してほしい。体力に自信がない人は無理をしないで」と呼びかけている。

6月の生活保護、過去最多 160万4千世帯

厚生労働省は3日、全国で生活保護を受けているのは6月時点で160万4414世帯(前月比1321世帯増)となり、過去最多となったと発表した。受給者数は前月比1012人減の215万8840人だった。

 世帯別(一時的な保護停止を除く)では、65歳以上の高齢者世帯が75万3055世帯で、全体の約半数を占める。昨年同月に比べ、約4万世帯増加した。働ける世帯を含む「その他の世帯」は28万2671世帯だった。

 景気回復で受給者数が微減になった一方、単身高齢世帯は増えており、厚労省は「今後も単身高齢者の増加傾向は続くだろう」としている。

 受給者数は3月時点で217万人を超え、過去最多を更新したが、4~6月は3月を下回っている。

認知症鉄道事故、家族を責めた判決は妥当か- 高齢社会をよくする女性の会が勉強会

「認知症の人の鉄道事故は、徘徊を防がず、監督義務を怠った家族の責任」―。認知症の人の鉄道事故裁判をめぐって今年4月に示された判決は、介護者に重い責任を課すものとして波紋を広げた。特に、認知症の人の家族や医療・福祉関係者からは「介護の実情を理解していない」との批判が相次いでいる。今後の最高裁判断が注目される中、NPO法人高齢社会をよくする女性の会が27日に東京都内で開いた勉強会では、介護に当たっている当事者らから戸惑いと怒りの声が報告された。

ロキソニンSが指定第二類に- 薬食審・安全対策調査会で了承

厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会は27日、現在第一類医薬品に区分されており、製造販売後調査が終了した第一三共ヘルスケアの解熱鎮痛薬ロキソニンS(成分名ロキソプロフェンナトリウム水和物)についてリスク区分の検討を行った。その結果、類似薬と同様に指定第二類医薬品に区分変更することを了承した。この日の会合では、同剤の副作用の発現率は、指定第二類に区分されている類似薬の「イブプロフェン」「アスピリン」と大きな違いがないことなどから、指定第二類への区分変更が適切だとして意見が一致した。ただ、参考人から「十分な情報提供が必要」などと指摘が上がったことから、厚労省は販売会社に対し、適切な情報提供や添付文書への分かりやすい記載などを求めていく考えを示した。

 また同調査会は、要指導医薬品4剤についてリスク評価を行い、いずれも製造販売後調査の終了後に一般用医薬品に変更することを了承した。4剤は以下の通り。
 興和のエルペインコーワ(成分名イブプロフェン/ブチルスコポラミン臭化物)▽佐藤製薬のストナリニ・ガード(メキタジン)▽エスエス製薬のアレジオン10(エピナスチン塩酸塩)▽田辺三菱製薬のアレギサール鼻炎(ペミロラストカリウム)

 厚労省は今後、リスク区分の見直しについてパブリックコメントを行い、その結果などについて医薬品等安全対策部会で審議する。

胃切除後のQOL悪化に摂食制限

2014年8月11日 ソース:専門誌ピックアップ カテゴリ:消化器疾患・一般外科疾患
文献:Lee SS,et al.Long-term Shifting Patterns in Quality of Life After Distal Subtotal Gastrectomy: Preoperative- and Healthy-Based Interpretations.Ann Surg. 2014 Jul 28. [Epub ahead of print]

 胃癌患者127人の生活の質(QOL)データを基に、幽門側胃部分切除術後の健康関連QOLの長期的変動パターンを検証。患者の術前データと、年齢/性別で調整した健常者127人のデータに基づく検証結果の両方で特定された持続的QOL悪化要因は、摂食制限と身体醜形懸念だった。経済的困難が術前時に確認され、術後も36カ月以上持続した。

摂取しやすい介護食を開発

ハウス食品は、介護ニーズに対応し、食べる力が弱くなった要介護者に適したゼリー状食品を開発した。喉ごしのよい食感により、たん白質など不足しがちな栄養素を無理なく摂取できる。在宅介護や介護施設での活用を想定し、スーパーなどの小売りチャンネルなどを通じ、18日から市場投入した。

 新開発の食品は、「やさしくラクラクケア たんぱく質5g果実のゼリー」。食欲が低下し、噛む力や飲み込む力といった食べる力の弱くなったヒトが食べやすい設計手法を導入した。食欲低下は、必要な栄養素の不足につながるため、同食品では1個65グラム当たり、たん白質5グラム、鉄3・5ミリグラム、亜鉛6ミリグラムを配合した。エネルギーは80キロカロリー。

 日本介護食品協議会が制定した自主規格「ユニバーサルデザインフード(UDF)」に適合させ、UFD区分3とした。区分3は、「舌でつぶせる」柔らかさのある食品となる。ラベルには同協議会のマークを表示。

 要介護者ばかりでなく、健常人の日常食としても利用できる。

急増する「逆流性食道炎」 生活習慣改善で重症化防ぐ

毎日新聞社 2014年8月14日(木) 配信
どうすれば安全安心:急増する「逆流性食道炎」 生活習慣改善で重症化防ぐ

 ◇高脂肪食で胃酸が増加/暴飲暴食、夜型化も原因/ピロリ菌減った影響も

 「逆流性食道炎」で病院を訪れる患者が近年、急激に増えているという。我慢できないほどではないものの、胸やけや胃のもたれが頻繁に起きるのはつらいものだ。この苦痛から解放されるにはどうしたらいいのか。豊富な治療経験を持つ医師に、治療法や予防法などを聞いた。【小林祥晃】

 あるサラリーマン男性。50歳を過ぎたころから、油ものを食べたり、飲み過ぎたりすると、必ず胃がもたれ、胸やけするようになった。若いころは仕事も遊びもバリバリこなしていたのに、今は胃腸薬が手放せない。部下の指摘で、無意識のうちによく胸をさすっていることに気付いた――。

 どこにでもいそうなこのお父さん、逆流性食道炎の可能性が極めて高い。日本医科大千葉北総病院の消化器内科部長、岩切勝彦さんによると、他にも典型的な症状として、食事の1~2時間後に「みぞおちの上がチリチリする」「げっぷとともに口の中が酸っぱくなる『呑酸(どんさん)』がある」などが挙げられるという。

 さらに「胸が痛む」「のどの奥に違和感がある」「せきが出る」「声がかすれる」といった、一見胃腸とは関係なさそうな症状が出ることもある。岩切さんは「患者は近年、激増しています。消化器内科を訪れる4人に1人はこの病気。もはや国民病です」と言う。

 逆流性食道炎が起きる仕組みはこうだ。食道と胃のつなぎ目の周囲には「下部食道括約筋」という筋肉があり、健康な人ではこの筋肉が食道を締め、胃の内容物が食道に逆流しないよう「弁」の役割を果たしている。ところが、暴飲暴食やきつい服装の締め付けでおなかに負担がかかると下部食道括約筋が突然緩み、げっぷなどとともに胃酸や胃酸を含む内容物が逆流、食道がただれて炎症を起こしてしまうというわけだ。「水を飲むと一時的に酸が流れるのでスッキリする。そんな人はまず、逆流性食道炎を疑って間違いないと思います」

 それにしても、なぜ急増しているのか。岩切さんはまず、生活習慣の変化を挙げる。「現代人の高脂肪、高カロリーの食事は消化しにくく、結果的に胃酸の分泌を増やします。それに加えて、生活の『夜型化』が大きい。終電まで働き、寝る前にご飯を食べる、または深夜まで飲んでそのまま寝る、といった生活は最悪です」

 食べてすぐ寝ると、胃の内容物が上がってきやすいためかと思えるが、それだけではなかった。「人は起きている間、20~30秒に1回ゴクンと唾液を飲み込みます。飲み込んだ後には、食道に逆流した胃酸や食べた物などを胃に押し出すような食道の動きが起きるため、少々の胃酸逆流は押し戻されます。ところが寝ている間は唾液の分泌が抑制されているため、唾液の飲み込みが起こりません。その結果、食道の動きが出現せず、逆流が起きると長時間食道が胃酸にさらされる」。そんな生活を長年繰り返していると、いつの間にか重症化してしまうのだ。

 岩切さんがもう一つ指摘するのは、ピロリ菌のない人が増えていることだ。「ピロリ菌がいると胃粘膜が萎縮や炎症を起こし、胃酸の分泌が減ります。かつては『加齢とともに胃酸分泌は減る』と言われてきましたが、それはピロリ菌陽性の人が多かったから。現代は衛生的な生活でピロリ菌のいない人が増えています。そういう人は胃酸が減らないので、逆流性食道炎は今後も増えるでしょう」

 治療法は、胃酸分泌を強く抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)の処方が一般的だ。軽症なら、1日1錠飲めば4、5日で症状が消える人がほとんど。ただ「薬をやめて再び症状が出るようなら飲み続ける必要がある」という。

 市販の胃腸薬にも「胃酸を抑える」とうたう薬は多い。「H2ブロッカー」という成分を含む薬がよく知られているが、岩切さんは「H2ブロッカーは就寝中の酸は抑えるが、食後の酸を抑える効果は低い。逆流性食道炎には病院でPPIを処方してもらった方がいい」とアドバイスする。

 重症になると、PPIが効かない患者もいる。その場合、まれに胃の一部を食道に巻き付けて逆流を防ぐ手術をするケースもある。

 食生活や生活習慣と関わりが深い疾患なので、注意すれば予防することができる。岩切さんは「脂っこい食べ物だけでなく、甘い物や辛い物など胃酸の出やすい食べ物を控え、腹八分目を心がけること。そして就寝2~3時間前には食べないことです。また肥満気味の人や姿勢が前かがみになりやすい人は、胃が圧迫されて逆流が起こりやすいので、腹部を締め付けない服装や、姿勢を良くすることを心がけましょう」。軽症の人は、これら生活習慣の改善で再発を防止できることもあるという。

 命に関わる病気ではないが、慢性的な胸やけは生活の質を落としてしまう。しっかり治療して健やかな毎日を送りたい。

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