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アセトアミノフェン、腰痛改善せず

オーストラリアで急性腰痛患者1652人を対象に、アセトアミノフェンの有効性を無作為化比較試験で検討。回復までの期間の中央値は、規則的投与(1日3回)群17日、必要時投与群17日、プラセボ群16日で群間差はなかった(調整後P=0.79)。有害事象発生率もそれぞれ、18.5%、18.7%、18.5%で同等だった。

緑茶で認知症改善?特集

◆予備的試験で効果確認--山田浩・静岡県立大教授

 認知症は、記憶や時間、場所などを判断する能力が低くなって、社会生活を営むことが難しくなる。認知症になる要因は主に三つあり、代表的なのはアルツハイマー病によるもの。認知症患者のおよそ半分を占める。この他、脳卒中などによって生じた脳血管疾患に伴う認知症、たんぱく質の異常な構造物(レビー小体)が脳内にたまって生じるレビー小体型認知症などがある。

 治療に関しては、いまのところ認知症の症状の進行を遅らせる薬はあるものの、根本的に治す薬はない。このため、生活習慣の改善を通じた予防策が重要となる。

 ◇カテキンなどの含有成分に注目

 そうした中で緑茶に含まれるカテキンやテアニン(アミノ酸の一種)の機能性が注目されている。細胞を使った実験で脳神経細胞を保護したり、ネズミを使った実験で認知機能の低下が改善されたりする研究報告があるからだ。

 緑茶に含まれる成分の働きに注目した山田浩・静岡県立大薬学部教授(医薬品情報解析学)は伊藤園中央研究所、社会福祉法人・白十字会(東京都東村山市)と共同で緑茶が認知症の改善に効果があるかどうかの試験を一昨年に行った。

 老人ホームに入居する認知症の高齢者12人(平均年齢88歳、男性2人、女性10人)を対象に、緑茶の粉末2グラム(カテキンの総量は1日227ミリグラム)を毎日、3カ月間飲んでもらい、3カ月後に認知機能検査の点数が上がるかどうかを調べた。12人の内訳は脳血管疾患による認知症8人、アルツハイマー病3人、レビー小体型認知症1人。

 認知機能の検査は世界的に使われているMMSE(ミニメンタルステート試験)日本語版を使った。「いま季節は何ですか」「きょうは何曜日ですか」などの質問をして、点数の合計点(30点満点のスコア)で認知症の程度を知る検査法だ。

 この試験の結果、12人の平均スコアは、飲む前は15・3点だったが、3カ月後の検査では17点に上がった。特に「近時記憶」の検査では、12人のうち8人のスコアが上がった。

 この「近時記憶」は、試験者から出された「ボール」「旗」「桜」の3語を繰り返して言えるかどうかをまず答え、次の別の質問のあとに、この3語の単語を覚えているかどうかを尋ねるものだ。この検査では平均点も上がったことから、近時記憶の改善が目立ったといえる。

 ◇一般的煎茶なら1日に2~3杯

 この試験で認知症の高齢者が飲んだ緑茶の量はどれくらいか。

 人によってお茶のいれ方に差はあるものの、一般的に食卓で煎茶を飲む場合、100ミリリットルあたり80ミリグラム前後のカテキンが含まれる。この80ミリグラムを基にすれば、1日に2~3杯の緑茶で効果があったことになる。通常の300ミリリットル容器の緑茶飲料は、煎じた場合よりもカテキンはやや少ないため、2本程度に相当するという。

 これまでは緑茶を実際に人に飲んでもらって、認知症の症状の改善に効果があるかどうかの試験はほとんどなかっただけに、今回の試験の意義は大きい。ただ、山田浩教授によると、今回の試験では参加総数が12人と少なく、さらに緑茶を飲んだ群と飲んでいない対照群(プラセボ群)との比較がないのが課題として残った。

 そうしたことから、山田浩教授は「今回の試験は予備的な試験」と位置づけ、昨年秋から、同じ施設の認知症の高齢者30人を対象に、1年間の緑茶飲用の効果を見るための本格的な試験を始めている。結果は来年に出る予定だ。

 共同研究した提坂(さげさか)裕子・伊藤園中央研究所長は「これまでの研究で、緑茶が人の認知症予防に効果がある可能性が示されていたが、今回の研究はそれを支持する結果ではないか」と話す。

 いま続けている試験について、山田浩教授は「認知症の高齢者は他にも病気があることが多く、試験を1年間継続するのはとても難しいが、なんとか結果を出したい」と意欲的だ。

 ◇コーヒーや紅茶、差は見られず

 一方、緑茶の摂取が認知症の予防になるのを示唆する新たな疫学研究結果も出ている。金沢大の山田正仁教授(神経内科)や篠原もえ子助教らの研究グループが行ったもので、米国科学誌プロスワンにも掲載された。

 同研究グループは2007~08年、石川県七尾市中島町に住む60歳以上の高齢者を対象にお茶を飲む習慣を聞き出し、認知機能などを検査したうえで、認知機能が正常な490人を約5年間追跡した。

 その結果、緑茶を全く飲まない138人では43人(約31%)が認知症か軽い認知障害の認知機能低下が見られた。これに対し、週に1~6日飲む195人では認知機能低下は29人(約15%)と低く、毎日緑茶を飲む157人では同18人(約11%)とさらに低かった。コーヒーや紅茶では差は見られなかった。

 統計的な解析の結果、緑茶を全く飲まない場合に比べ、緑茶を毎日飲むと認知機能低下のリスクは3分の1に、週に1~6日飲むと2分の1に減ることが分かった。

 山田正仁教授によると、この研究手法は、研究開始時に生活習慣と認知機能を確かめたうえで追跡していくため、「前向き縦断試験」といい、信頼性は高い。緑茶のどんな成分が効いているかの解明は今後の研究課題だが、今度の疫学研究を受けて、山田正仁教授らは現在、アルツハイマー病の脳に蓄積するアミロイドという異常たんぱく質を阻害する作用をもつポリフェノールのカプセルをアルツハイマー病の患者に投与する比較対照試験を始めている。今後が注目される。

[健康] 「自分は健康」が7割を超す一方、6割に不安感 健康意識調査

厚生労働省は8月1日に、「健康意識に関する調査」の結果を公表した(p1参照)。

 この調査は、健康に関する意識の傾向を分析することを目的として、今年(平成26年)2月に、インターネットを通じて実施された。20~80歳代から5000件の回答を得ている。


 普段の健康感については、自分を「非常に健康だと思う」との回答が7.3%、「健康な方だと思う」は66.4%となり、合わせて73.7%が「自分は健康」と考えていた。一方、「あまり健康ではない」は21.7%、「健康ではない」は4.6%だった。


 健康感を判断する際に重視した事項(複数回答)は、「病気がない」が63.8%ともっとも多く、「おいしく飲食できる」40.6%、「身体が丈夫」40.3%、「ぐっすりと眠れる」27.6%、「不安や悩みがない」19.1%の順に上位を占めた。


 また、自分の健康に関して「何らかの不安がある」との回答は61.1%。不安の内容としては、「体力が衰えてきた」49.6%がもっとも多く、次いで「持病がある」39.6%、「ストレスがたまる・精神的に疲れる」36.3%、「肥満が気になる」27.3%、「歯が気になる」26.2%という結果だった。


 さらに、何歳まで生きたいかという設問に対しては平均79.6歳、実際に生きることができると考える年齢については平均77.6歳、という分析結果も得られた。


 ほかに、健康に関する情報源としてもっとも信用度が高かったのは「かかりつけの医師」(20.4%)、自身の健康のために出費してもよいと考える1ヵ月間の金額は平均3908円など、さまざまなデータが明らかになった。

子どもの夢は…「お医者さん」男女に人気 第一生命調査

第一生命保険は、子どもたちに「大人になったらなりたいもの」を聞く恒例の調査結果を発表した。1位は、男子は4年連続で「サッカー選手」、女子は17年連続で「食べ物屋さん」だった。女子では前回4位だった「お医者さん」が1989年の調査開始以来初めて3位に入った。

 「お医者さん」は男子でも前回の9位から6位に上昇。第一生命は「医師を主人公にしたドラマが話題になり、憧れの存在になったのでは」とみている。

 ■大人になったらなりたいもの

 <男子>

 1 (1) サッカー選手

 2 (4) 野球選手

 3 (6) 食べ物屋さん

 3(10) 消防士・救急隊

 3 (2) 学者・博士

 6 (9) お医者さん

 7 (6) 電車・バス・車の運転士

 8(10) 大工さん

 8 (5) テレビ・アニメ系キャラクター

 8 (2) 警察官・刑事

 <女子>

 1 (1) 食べ物屋さん

 2 (3) 保育園・幼稚園の先生

 3 (4) お医者さん

 4 (5) 学校の先生(習い事の先生)

 5 (7) 飼育係・ペット屋さん・調教師

 6 (2) 看護師さん

 6 (8) ピアノ・エレクトーンの先生・ピアニスト

 8(14) 美容師さん

 8(13) 歌手・タレント・芸人

10(10) デザイナー

10 (5) お花屋さん

 ※順位のかっこ内は前回(2012年)調査での順位。第一生命保険調べ

朝日新聞 2014年7月31日(木) 配信

目指せ「やぶ医者」 医学部志望高校生、講演や模擬体験 公立八鹿病院で7日

プロジェクトでは将来、養父市内に勤務する条件で医学生の修学資金を支援するなどしている。その一環として、2011年からセミナーを開催し、医学部志望の高校生が研修医の話を聞く機会を設けている。

 これまで、11年に参加した当時の高校生5人のうち、1人が大学の医学部に進学しているという。12年には7人、13年には21人が参加し、今回は22人が参加予定。公立八鹿病院の院長や研修医が講演、その後高校生と医師が懇談、医療の模擬体験も行う。

介護施設運営2法人を処分 北海道旭川市、虚偽報告で

北海道旭川市は30日、市内で介護施設を運営する2法人が、医師や職員の勤務実績の虚偽報告などをしたとして、新規利用者の受け入れ停止や介護報酬カットの行政処分にしたと発表した。

 旭川市によると、グループホームを運営する社会福祉法人「群生会」は2012年8月~同9月、市の条例に違反しないよう、実際には勤務していない職員を働いたように装い勤務実績表を作成。介護報酬3割カット(3カ月)の処分を受けた。

 老人保健施設を運営する医療法人「恵心会」は昨年2月に常勤の医師が勤務していないことを隠すなどして、新規利用者の受け入れ停止(3カ月)の処分を受けた。

 昨年10月、市民からの情報提供で発覚した。旭川市は「このような事案が発生し誠に残念で遺憾。今後も指導、監督に努めたい」とコメントした。

訪問診療撤退155施設 報酬下げ影響、団体調査

医療機関に支払われる診療報酬が4月に改定され、有料老人ホームなど高齢者施設への訪問診療の報酬が大幅に減額された影響で、全国の少なくとも155施設で医療機関が撤退したり交代したりしたことが、20日までに全国特定施設事業者協議会など業界団体の調査で分かった。

 改定で報酬は最大約4分の3カット。施設で一度に大勢の患者を診察する医師の「荒稼ぎ」を防ぐ狙いだったが、現場からの反発が強まっており、厚生労働省も来月以降、影響を調べる予定だ。

 今回の調査は5~6月に、有料老人ホームや認知症グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などの事業者でつくる計4団体が共同で実施。1764施設から回答を得た。

 医療機関の撤退や交代があったのは、おおむね11カ所に1カ所の割合。有料ホームやサ高住は都市部に多いため、撤退や交代のケースも東京都が最も多く30施設で、大阪府21、神奈川県18、兵庫県14と続いた。

 医療機関が報酬カットを避けるため、訪問回数を増やすなど診療方法を変更したケースが約半数の867施設に上った。このうち約6割の530施設が「方法変更で入居者に不利益や問題が出ている」と答えた。

 具体的な影響として「訪問日時が不規則で、施設側から医師への情報提供が難しくなった」「診察時間が短くなった」などの指摘があった。

脂肪燃焼サプリ根拠なし 「千人成功」は水増し

「脂肪を燃焼させ、千人に1人しかダイエットに失敗しない」などとサプリメントの効果を宣伝したのは根拠がなく、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、消費者庁は17日、東京都板橋区の通信販売会社プライム・ワンに、再発防止などを求める措置命令を出した。

 約千人が成功したとうたいながら、サプリを実際に飲んだモニターは164人しかいなかった。広告でやせたと体験談を語り、写真を掲載した女性たちも、実際はサプリを飲んでいないモデルだった。効能を証言した医師は実在しなかった。

 消費者庁によると、同社は2012年8月~13年1月に女性向け漫画雑誌2誌の広告欄で、サプリ「トリプルバーナー」を飲めば「余分な脂肪は1グラムも残さない」などと宣伝。含まれる成分に関する報告を消費者庁に提出したが、同庁はダイエット効果の根拠とは言えないと判断した。

 同社は10年2月から、この商品を1カ月分約1万円で販売し、これまでに約1億6千万円を売り上げた。「商品の信頼性が高まると思ってモニターの人数を増やし、存在しない専門家の話を載せてしまった。おわびし、再発防止に努めたい」としている。

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