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医療機関増に前向き 混合診療で厚労相

田村憲久厚生労働相は30日の記者会見で、政府の規制改革会議が求める保険が使える診療と保険外の自由診療を併用できる「混合診療」の拡大案に関し、実施医療機関を増やすことに前向きな姿勢を示した。「趣旨は共有している。一定程度は拡大することを検討したい」と述べた。

 現行制度では混合診療は原則禁止され、一部の先進医療などを「保険外併用療養費制度」の中で例外的に認めている。規制改革会議は、この枠組みに、患者の申し出によって幅広い治療が対象になる「選択療養」(仮称)を設けるよう要求。実施できる医療機関は数百カ所確保することを想定している。

 これに対し、厚労省は実施機関を全国で15カ所程度に絞る対案をまとめているが、田村氏の発言は拡大を検討する考えを示したものだ。

肺炎は予防できるの? ワクチンABC

Q 肺炎で亡くなる人って多いの?

 A 厚生労働省の2013年の推計では、肺炎による死亡者は12万4000人となり、国民病として有名な脳卒中などの「脳血管疾患」を抑えて3位でした。寿命が延びて、高齢者が増えたことが背景にあります。肺炎による死者のうち、65歳以上の高齢者は96%に達します。肺炎は、細菌やウイルスが体に入って起きる肺の炎症です。体の免疫力が落ちるとかかりやすく、原因で最も多いのが「肺炎球菌」と呼ばれる細菌です。

 Q どうすれば防げるの?

 A ワクチンを打つと、予防できる可能性があります。成人向けには、90種類以上の肺炎球菌のうち肺炎を起こしやすい23種類が対象のワクチンがあり、今年10月からは65歳を対象にした定期接種が始まる予定です。18年度までは70歳以上の5歳刻みの年齢の人も対象です。

 Q 子どもは大丈夫なの?

 A 髄膜炎など重い病気を起こしやすい13種類を対象にした小児用ワクチンがあります。定期接種になっており、一般に生後2カ月~半年に1回目を受けると、4週間隔で3回受け、生後1歳~15カ月に4回目を接種します。ただし、ワクチンで全ての肺炎を防げるわけではないので、不調を感じた場合は早めに医療機関へ行くことが大切です。
毎日新聞社 2014年5月29日(木) 配信

地域包括、「ネットワーキングのアート」

第2回日本医師会在宅医療支援フォーラムが5月18日、400人強の参加者を集め、開催された。基調講演した、慶応義塾大学名誉教授の田中滋氏は、「地域包括ケアシステムは、ハードを作ることではなく、既にあるインフラをいかに有機的に統合するか、つまり『ネットワーキングのアート』である」と指摘、「ケアは施設ではなく、地域に付く」という発想で地域包括ケアシステムの構築を進める必要性を強調した。

 「4つのヘルプ」という考え方の下、「5つのサービス」を展開するのが、地域包括ケアシステムに対する田中氏の基本的考え。この考えは年々進化を続け、従来は、「5輪の花」の図のように、5つのサービスを展開する模式図を描いていたが、今は「植木鉢」図に変更。「住まいと住まい方」と「生活支援・福祉サービス」という、個人の選択や好み、経済力などが反映する生活基盤がベースにあり、「医療・看護」「介護・リハビリ」「保健・予防」という、プロが提供し、平等性が重視されるサービスが上に乗るという考え方だ。

訪問診療の減額の影響、優先的に調査

中央社会保険医療協議会の診療報酬改定結果検証部会が5月14日に開催され、部会長に明治安田生活福祉研究所主席研究員の松原由美氏を選任するとともに、2014年度改定の影響を検証するため、2014年度と2015年度の2年間に、計12項目の特別調査の実施を決定した(文末を参照。資料は、厚生労働省のホームページに掲載)。

 2014年度は6項目の調査を実施する。改定の影響がより明らかになるよう、可能な限り後ろ倒しのスケジュールで進めるが同一建物同一日の訪問診療等への適正化による影響調査」に限っては、可能な限り速やかに調査する。2014年度改定では「同一建物同一日」の訪問診療料は4分の1に減額され、「集合住宅などでは、訪問診療を行う医療機関を確保できなくなるのではないか、という懸念も出ている」(厚労省保険局医療課保険医療企画調査室長の竹林経治氏)ことを踏まえた対応だ。7月中には調査票を固め、8月に調査を実施、10月には結果の速報を公表する予定。

 本部会の結果が報告された同日の中医協総会では、健康保険組合連合会副会長の白川修二氏は、(2)のうち、紹介率・逆紹介率の低い大病院に関する調査は、2014年度に実施すべきと提案。社会保障審議会医療保険部会で、紹介状のない大病院の外来受診を抑制する議論が出ているからだ。これに対し、竹林氏は、大病院の外来関連の2014年度改定は、1年の経過措置を設けているので、2015年度の実施に理解を求めた。

認知症を緑茶が予防、金沢大グループ発表

金沢大の山田正仁(まさひと)教授(神経内科学)らの研究グループが、毎日緑茶を飲む習慣のある人は軽度も含めた認知症の発症率が、全く飲まない人の3分の1にとどまることを突き止めた。コーヒーや紅茶を飲む習慣と発症抑制との関連は見られず、緑茶にだけ認知症の予防効果がみられたという。成果は15日の米科学誌プロスワン電子版に掲載された。

 研究グループは2007~13年、石川県七尾市中島町の60歳以上の住民を対象に調査を実施。07~08年の初回調査時に認知機能が正常で11~13年に再調査ができた490人について、飲茶の習慣と、認知症やその前段階の軽度認知障害の発症を分析した。

 その結果、毎日緑茶を飲む157人のうち発症したのが18人だったのに対し、全く飲まない138人では43人が発症していた。発症率はそれぞれ11・5%と31・2%で、毎日飲むグループは発症リスクが3分の1にとどまった。週1~6日飲むグループも発症率は14・9%と低めで、リスクは半分以下に抑えられた。

生活保護受給、17年ぶり減 2月、前月比368世帯

年2月の生活保護の受給世帯は159万8818世帯で、前月より368世帯減少した。厚生労働省が14日、速報値を公表した。就職機会が増えて季節的に受給者が減りやすい4月をのぞくと、受給世帯の減少は17年5カ月ぶり。受給者数も、過去最多だった前月より1546人減り、216万6381人だった。

 高齢化の影響などで受給世帯は増え続け、1990年代半ばと比べれば100万世帯近く増えた。今回の世帯数の減少について、同省は「失業率や有効求人倍率の改善など雇用情勢の回復が減少につながった可能性がある」とみる。ただ今後も減少傾向が続くかについては「引き続き注視が必要」と慎重だ。世帯の内訳では高齢者世帯が最も多く、46%を占める。

朝日新聞 2014年5月14日(水) 配信

介護休業期間、主要企業9割が独自に延長 朝日新聞調査

年間10万人と言われる介護離職への危機感を背景に、主要企業の9割が介護休業の期間を法定日数より延長している。朝日新聞が全国の主要100社を対象に実施した「仕事と介護」アンケートで、そんな現状がわかった。ただ介護休業などの支援制度が十分活用されていない企業も多く、利用しやすい環境づくりが課題となっている。

 育児・介護休業法は、要介護状態の家族1人につき、通算93日までの介護休業と年5日の介護休暇を認めている。同法は、短時間・フレックス勤務などの支援策を講じることも企業に義務づけている。

 各企業の支援状況を調べるため、朝日新聞が景気調査をしている100社にアンケートを送った。メーカー、金融、運輸、流通など各業種の主要企業だ。93社から3月までに回答を得た。

 その結果、介護休業の期間について、独自に延長している企業が84社(90%)あった。最長は3年でサントリーホールディングス、コマツ、三菱地所、東京ガスの4社だった。2年以上3年未満も7社あった。最も多いのは休業期間1年とする企業で、3分の2を占める62社あった。

胃瘻や嚥下障害用キット発売

医薬品製造機器および医薬総合コンサルティングを手掛けるモリモト医薬(大阪市西淀川区、盛本修司代表取締役)は、医療用製品に参入し、服用補助ゼリーキットおよび高速簡易懸濁注入器を発売した。服用補助ゼリーキットは携帯型のゼリー状オブラートで、水が不要でコップやスプーンがなくても服用できる。嚥下障害患者向け高速簡易懸濁注入器は10分で懸濁できるディスポーザブルキットで、透明フィルム素材のため中の状態が確認できる。

 盛本氏が武田薬品工業で製剤研究に長年携わった経緯から、同社はゼリー製剤や服薬用補助剤、新剤形医薬品などの開発にも取り組んできた。今回投入した2製品はその成果。

 嚥下困難者向け服用補助ゼリーキットには医療向けの「GTパック」、一般向け「のめるモン」がある。フィルムキットにゼリーがセットされ、反対口から薬剤を入れゼリーを押し出して薬剤を包む仕組み。スプーン形状のフィルムでそのまま飲める。

 のめるモンは4月26日からアマゾンでネット販売を開始しており、ドラッグストアでの販売やアウトドアメーカーでのOEM(相手先ブランドによる生産)供給も目指す。同社は60億円という服薬補助ゼリー市場の拡大につながると期待する。

 一方、胃瘻や腸瘻、経鼻胃管の嚥下障害患者に経管投与を行う際に用いるのが高速簡易懸濁注入器「クイックバッグ」。薬剤とお湯(55度C以下)を入れ10分で完了。透明フィルムのため懸濁状態が確認でき、取り間違いもないうえチューブ詰まりも抑えられる。手揉みで薬剤崩壊を促進できる。粉砕不要のためコンタミの恐れがない。ディスポーザブルのため、洗浄・乾燥の必要もないなどトータルコストも削減できる。

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