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子どもの事故、動画で啓発 産総研が100種公開 「医療新世紀」

乳幼児の事故は、大人が目を離したわずかな隙に家の中でも起きる。起きやすい事故の形態は発育段階によって変わるため、それを保護者に知らせて予防に役立てようと、産業技術総合研究所が家庭内の事故をコンピューターグラフィックス(CG)で再現した動画集を作成、インターネットで公開している。

 計100種の動画は、国立成育医療研究センター(東京)が集めた約2300件の実際の事故事例などに基づく。子どもの発育段階を、できる動きによって(1)寝返り(2)お座り、はいはい(3)つかまり立ち、よちよち歩き(4)転ばず歩行(5)走る―の5段階に分け、それぞれの時期に多い事故、特徴的な事故を数秒~数十秒の動画にまとめた。

 例えば、寝返りができる時期までは、柵を外したベビーベッドや一時的に寝かせたソファなどから赤ちゃんが転落する事故が多い。成長するに従って子どもの手が届く範囲が広く、高くなっていき、事故の形態も誤飲、やけど、転倒、衝突など多様になる。

 高い位置にある引き出しを開けて子どもが薬のカプセルを口に入れる、トイレの便座に上った子どもが足を滑らせ転倒するなど、どこの家でもありそうな光景にどきりとさせられる。

 作成した産総研デジタルヒューマン工学研究センターの北村光司(きたむら・こうじ)主任研究員は「どんな事故があり得るのか、できるだけ具体的なイメージを持ってもらうことが予防につながる」と話し、今後さらに内容を充実させたいとしている。動画集は経済産業省の事業として立ち上げたサイト「キッズデザインの輪」から見ることができる。

※動画集のURLはhttp://www.kd―wa―meti.com/contents―Animation.html

70~74歳は窓口負担2割に 4月から特例解消 「医療費引き上げ」

70~74歳の医療費の窓口負担を、4月から段階的に2割に引き上げることが2014年度予算案に盛り込まれた。06年に成立した医療制度改革関連法で決まっていたにもかかわらず、負担増への反発を恐れた政治家らの圧力によって実施段階で先送りされた特例が解消する。

 当事者の家計への打撃は大きいが、医療保険財政の中で、現役世代から高齢者への支援金が大幅に増加し、世代間の公平を求める声が強まっていた。

 06年改革は、超高齢社会への対応を目指し、高齢者の負担を増やしたのが特徴。その一環で08年4月から70~74歳の負担割合を1割から2割に引き上げると決めた。しかし当時の自公政権下で国政選挙の苦戦が続いたことから延期に。民主党政権下でも特例が継続し、年約2千億円を補正予算で確保してきた。

 一方、現役世代から高齢者医療への支援金で、大企業社員らの健康保険組合や、中小企業が中心の全国健康保険協会(協会けんぽ)の負担は増えた。健康保険組合連合会の12年度決算見込みでは、支援金は07年度に比べ35%増の3兆1328億円に上り、保険料収入の46%を占める。

 健保連の霜鳥一彦(しもとり・かずひこ)理事は「今や保険料上昇の主な原因は高齢者への支援金だ」と説明。協会けんぽでも支援金が保険料収入の45%に達し、世代間の不公平を改善すべきだとの声が高まっていた。

 消費税増税で国民に幅広く負担を求めることもあって、政府、与党は昨年12月、特例の打ち切りに踏み込んだ。4月以降に70歳になる、1944年4月2日生まれ以降の人から2割負担にする仕組みで、それまでに70歳になっていれば、ずっと1割負担のままだ。

 千葉市で飲食店を経営する男性(71)は、医療費引き上げのニュースにショックを受けた。店と年金を合わせて月収約11万円の男性にとって、医療費が増えれば家計が苦しくなる。

 男性は高血圧と糖尿病が持病で、月1回受診し、5種類の薬を飲んでいる。窓口負担額は通常月約3500円。2割負担は、この支払額が2倍の約7千円になることを意味する。実際には、すでに70歳を過ぎているため、負担増にならないと分かった男性は「私は助かったけど、年を取ると、どうしても病気になるので、医療費が増えるとつらい」と話す。

認知症・うつ、画像で診断…技術開発支援へ

政府は、認知症やうつ病などの早期診断などにつなげる新しい画像診断技術の実用化に向け、資金支援に乗り出す方針を決めた。

 診断や治療が難しい認知症などの適切な治療に結びつける狙いだ。最先端を走る日本の研究は世界的に注目されており、政府は2015年に発足する日本版NIHの目玉事業に位置付ける考えだ。

 画像診断技術は、日本医科大学の大久保善朗教授(精神医学)のチームが15年度をめどに実用化を目指している。政府は日本版NIHの発足を待たず、厚生労働、文部科学、経済産業の3省が14年度当初予算案に計12億7000万円の研究支援費を計上した。

 同様の研究は世界数か国で競い合っているが、日本の研究が最も進んでおり、米国など約20か国から早くも開発後の技術供与の要請がきているという。

読売新聞 2014年1月15日(水) 配信

どうやって決まる? 診療報酬0・1%増

政府は昨年末の予算編成で、医療サービスの公定価格である診療報酬を4月から0・1%引き上げることを決めました。診療報酬とはどんなもので、どのように決まるのでしょうか。

 *  *  *

 ◇手術や薬ごとに点数 2年に1度の改定

 ―診療報酬とは何ですか。

 病院などの医療機関が病気やけがの治療をしたり、薬を処方したりしたときに受け取る収入のことです。健康保険証を使って受ける治療では、国が定める「公定価格」です。原則として2年に1度、改定することになっており、2014年度は見直しの年に当たります。14年度予算編成で財務省と厚生労働省が話し合い、0・1%増やすことにしました。0・1%上がれば、必要なお金は約400億円増えます。患者や、会社の健康保険組合、市町村が運営する国民健康保険(国保)、税金などで負担します。

 ―診療報酬に消費税は含まれるの。

 4月には消費税率が8%に引き上げられますが、診療報酬そのものは非課税です。一方で、医療機関が仕入れる機器や薬には消費税がかかります。医療機関の収入が実質的には減ってしまいかねないので、これを補う分として診療報酬の改定率に1・36%上乗せしました。それを除くと、実質的にはマイナス1・26%になります。改定率が実質マイナスになるのは6年ぶりです。

 ―病院で払う金額ってどうやって決まってるのかな。

 診療報酬は手術や検査など項目ごとに点数が決められており、料金表のようになっています。1点を10円で計算します。例えば風邪をひいて病院に行ったとします。「初診料」は270点。医師がどの薬を出すか決めて、処方箋を書けば68点なので、診療報酬の合計は338点。医療費は3380円になります。

 ―そんなに払うの。

 公的医療保険の場合、この全額を患者が支払うわけではありません。病院や薬局の窓口での負担割合は、年齢や所得で決まっています。現在は70歳以上が1割、69歳以下と、現役並みの所得がある70歳以上の人は3割、小学校入学前の乳幼児は2割です。ただし4月以降に70歳になる人は70~74歳の間、2割負担になります。

 さて先ほどの風邪のケースで窓口で払う金額は、3割負担の人なら1014円になりますが10円未満の端数は四捨五入になるので1010円です。残りの7割は皆さんが加入している健保組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)、国保などが負担します。薬局の薬剤師の技術料や薬代も同じ仕組みです。

 ―点数はどうやって決まるの。

 全体で0・1%増になるように、中央社会保険医療協議会が個別の点数を決めて、厚労相に答申します。協議会では、病院や歯医者、薬剤師など報酬を受ける立場の代表、健保組合など報酬を支払う団体の代表、中立的な立場の3者が話し合います。どういう治療や薬にどの程度お金を払えばいいのかという配分を決める作業です。

タミフル効かないインフルエンザ 札幌警戒 効く吸入薬、幼児に不向き

札幌市内の医療機関を昨年11~12月に受診したインフルエンザ患者6人から、抗インフルエンザ薬のタミフルとラピアクタが効きにくい耐性ウイルスが見つかった問題で、市民に7日、警戒感が広がった。

 札幌市中央区の円山ため小児科は7日、インフルエンザの予防接種に訪れる親子連れで混み合った。小学生の息子に付き添った同市中央区のパート女性(44)は「薬が効かないなんて不安」と表情を曇らせる。

 息子は以前、インフルエンザにかかり、吸入薬のリレンザを服薬したが、「うまく吸えず効き目がなかった」という。抗インフルエンザ薬のリレンザとイナビルは、今回の耐性ウイルスにも効果があるとされる。ただ、どちらも粉末を専用の吸入器で吸い込むタイプ。確実に吸い込むのが難しく、一部の製薬会社は4歳以下の使用を勧めていない。

 同小児科は4歳以下の患者には、基本的にタミフルの処方を続ける方針。耐性ウイルスは2009年に新型インフルエンザとして流行したH1N1型とされるが、多米淳院長は「H1N1型の患者すべてに、タミフルが効かないと決まったわけではない」と話す。

 耐性ウイルスを確認した国立感染症研究所(東京)には、全国から耐性の可能性のある検体が送られており、まず札幌分から解析が進められたとみられる。札幌市保健所によると、同研究所は順次、全国の検体の解析を進める見通し。

 道は「ウイルスが札幌市外にも広がっている可能性がある」と警戒。道立衛生研究所(札幌)は、日常的に行っている全道のインフルエンザ患者の検体検査で、耐性ウイルスが疑われる場合は国立感染症研究所に送り、詳しく解析する方針。さらに、道のHPを通じて、7日から医療機関に対し、耐性が疑われる場合にはリレンザなどの使用を考慮するよう呼び掛けを始めた。
北海道新聞 2014年1月8日(水) 配信

【石川】餅詰まらせ5人心肺停止

1-2日にかけて、県内の高齢男女8人が餅をのどに詰まらせて救急搬送され、このうち5人が搬送時に心肺停止状態となったことが3日分かった。

 金沢市消防局などによると、心肺停止になったのは、金沢市や白山市など4市1町の60-80歳代の男女5人。いずれも病院収容後の容体は不明という。残りの3人は救急隊が現場に駆けつけたときにはすでに餅をはき出すなどして、症状は軽かったという。

 金沢市消防局はホームページ上で〈1〉餅を小さく切って食べやすい大きさにする〈2〉水分を取ってのどを湿らせる〈3〉口に入れたまましゃべらない--などの予防策を紹介している。のどに詰まった場合には、上半身をかがませた状態で肩甲骨と肩甲骨の間をたたいてはき出させる方法があるが、同市消防局は「ほかの食べ物に比べて、餅を取り除くのは難しいので、事前に詰まらないように十分な対策を講じてほしい」と話している。

読売新聞 2014年1月4日(土) 配信

北大病院で脳死心臓移植 道内は「和田移植」以来

北海道大病院(札幌市)は6日、関東地方の病院に頭部外傷のため入院し、脳死と判定された成人男性から摘出された心臓を20代男性に移植する手術を開始した。同日夕に終了する見通し。北海道内で心臓移植が行われるのは1968年に札幌医大で実施され、議論になった「和田移植」以来。

 北大病院は道内で唯一、成人の心臓移植実施施設に認定されている。

 日本臓器移植ネットワークによると、男性は運転免許証に臓器提供の意思を示しており、臓器移植法に基づき5日、脳死判定された。脳死移植は、法施行後252例目。

 心臓のほか、肺は京都大病院で片方ずつ2人の20代男性、肝臓は神戸大病院で50代女性、膵臓(すいぞう)と片方の腎臓は広島大病院で50代男性、もう片方の腎臓は東京医科大八王子医療センターで60代女性に移植。小腸は医学的理由で断念された。

 「和田移植」は68年8月、第2外科教授だった和田寿郎(わだ・じゅろう)氏(2011年死去)が北海道小樽市の海岸で溺れた当時21歳の男性の心臓を心臓弁膜症で入院していた当時18歳の男性に移植した国内初の心臓移植手術。移植を受けた男性は同10月、死亡した。

 この移植で和田氏は殺人容疑で告発され、嫌疑不十分で不起訴処分となったが、医療技術や倫理の面で臓器移植の是非を問う議論をもたらした。

「“医療崩壊”の悪夢」現実か、実質1.26%引き下げ

2014年度診療報酬改定は、全体でプラス0.1%になることが12月20日、決定した(資料は、厚生労働省のホームページに掲載)。2014年4月の消費増税の補填分1.36%が含まれるため、実質的にはネットで1.26%のマイナス改定だ。マイナスになるのは、2008年度改定以来、6年ぶり。

 診療報酬本体はプラス0.73%(うち増税補填分0.63%)、薬価・材料はマイナス0.63%(同プラス0.73%)。診療報酬本体の内訳は、医科がプラス0.82%(同0.71%)、歯科がプラス0.99%(同0.87%)、調剤がプラス0.22%(同0.18%)。

 財務省は早くから、従来の改定とは方針を変え、薬価引き下げ財源を診療報酬改定財源に充てることはしないなど、厳しい姿勢で臨んでいた。財務省の意向通りになれば、「2000年代の悪夢が再現される」(日本医師会副会長の中川俊男氏、『“医療崩壊”の悪夢再現、阻止を!』を参照)との強い危機感が医療界にあったが、それが現実になったわけだ。

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