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摂食障害の専門治療 治療支援センターに指定 厚労省

拒食症や過食症など摂食障害の治療を充実させるため、厚生労働省は2014年度、専門医がいる全国10カ所程度の病院を「治療支援センター」に指定し、相談体制や地域の医療機関との連携を強化する方針を決めた。専門医らが同省に訴えてきた要望の一部が実現する形となり、11月1日には、現状を多くの人に伝えるための講演会が神戸で開かれる。

 摂食障害は心理的な要因に基づく病気。国内の患者数は現在、2万3千人以上と推計される。うち7~10%が合併症などで死亡、その1%は自殺という。

 神戸女学院大名誉教授で、摂食障害に詳しい浪速生野病院(大阪市浪速区)心身医療科部長の生野照子医師(70)は「誰もがかかり得る病気だが、専門に治療する公的機関がない上、専門医の数も限られる。早く治療を受ければ治るのに、どこを受診したらいいかさえ分からない患者もいる」と指摘する。

 そこで生野医師が事務局代表を務め、公的な専門治療機関の設立を目指す「摂食障害センター設立準備委員会」を10年に結成。全国の専門医らとともに、署名活動や講演会を展開してきた。

 厚労省は14年度予算の概算要求で、各地で指定する治療支援センターへの相談員配置などに4400万円を盛り込んだ。生野医師は「病気について正しい情報をセンターから発信するとともに、個々の医師が取り組んできた治療のデータを集積し、体系的な治療を実現させたい」とし、将来的にはさらに拡充されることを期待する。

 講演会は午後1時から、神戸ハーバーランドの市産業振興センターで開く。専門医らの講演やパネル討論のほか、摂食障害に苦しんだ経験がある作家柳美里さんが話す企画も。無料で予約不要。詳細は同準備委のホームページで。(片岡達美)

 〈摂食障害〉神経性食欲不振症(拒食症)と神経性過食症に大きく分けられる。厚労省研究班による2009~10年の調査では、女子中学生の50人に1人は専門医の治療や指導が必要と推計された。痩せていることを礼賛する社会的風潮などを背景に、患者は、若い女性だけでなく小学生から中高年まで幅広い年齢層で見られ、男性も増えている

マニュライフわくわくるーむ 心身障害児に癒やしの部屋 板橋

板橋区小茂根の心身障害児総合医療療育センター(君塚葵所長)に19日、障害のある子どもたちの心を癒やすプレイルーム「マニュライフわくわくるーむ」がオープンした。

 療育環境の改善に取り組むNPO法人「子ども健康フォーラム」(長嶋正實理事長)が、マニュライフ生命保険の寄付で設置・運営を支援している。都内での開設は初めてで、全国では9カ所目になる。

 壁画はヒーリング・アート(癒やしの芸術)を学ぶ女子美術大の学生が担当。水彩と色鉛筆の優しい色調でクマやムササビ、リスなどを描いた。木の幹や葉には動物の隠し絵が施され、それを見つけ出す楽しさもある。

 同ルーム担当の看護師、後藤和恵さん(38)は「軽く触るだけで音楽が流れたり、光が点滅する玩具が充実している。カーテンで仕切り、思春期向けのスペースも確保したので幅広い年代の子どもたちに喜ばれると思う」と話した。

ケアフード がん患者もおいしい食事楽しんで NPO「医療・福祉ネットワーク千葉」普及目指す

医療従事者やがん患者らでつくるNPO法人「医療・福祉ネットワーク千葉」(竜崇正理事長、県がんセンター内)は、抗がん剤投与や放射線治療の副作用などで食欲が落ちたり、手術の影響で固形物が飲み込みづらくなったりしたがん患者らに、治療しながらも、おいしい食事を楽しんでもらおうと「ケアフード」の普及に取り組んでいる。冷凍保存しやすく、調理する家族などの負担軽減につなげるのも狙いだ。【渡辺洋子】

 ケアフードは、旬の野菜や果物などをミキサーにかけたり煮込んだりして、シャーベットやムース状にしたものにアレンジを加えたものが主流だ。フランス料理の調理法を取り入れ、さまざまな料理に応用が利くタマネギやニンジンのピューレのほか、肉や魚類、パンをムースにするなど工夫を凝らしている。トマトやパイナップルをシャーベットにしたものもある。

 同NPOは3年ほど前からケアフードの研究を始め、これまでに患者約2000人にアンケートを実施。試食会や調理講習会を20回以上行ってきた。患者の要望を聞きながら、食感や味、栄養価に至るまで、取り組みに賛同するフレンチの山口賢シェフと試行錯誤しながら、独自メニューを考案している。

 県がんセンター(千葉市中央区)で今年7月に開かれたケアフードの試食会「夏のシャーベット祭り」では、マンゴーシャーベット、紫イモのムース、ヨーグルトのムースの3種が披露された。患者や家族550人が味を楽しんだ。NPO事務局によると、「入院中の子供たちの参加が多く、病室の友達にも食べさせたいと並ぶ姿も見られた」という。

 患者以外にも広げようと、昨年からは介護老人保健施設でのケアフード試食会も開始。竜理事長(69)は「食欲がなかった高齢者が『おいしい』と涙を流し喜んでくれた」と手応えを感じている。

 NPOは今後も病気の種類別に抱える「食」の問題点を洗い出し、患者のニーズに合ったきめ細かなメニューを考えていく方針だ。竜理事長は「いずれは、スーパーやコンビニで取り扱ってもらって、手軽にケアフードが楽しめるようにしたい」と語っている。問い合わせは事務局電話043・268・6960。

食物アレルギー責任負わず 小学校が保護者と念書

山形市の市立小学校が昨年3月、食物アレルギーのある児童の保護者との間で、発作により後遺症などが出た場合にも責任を負わないとの念書を交わし、市教育委員会が不適切として学校を指導していたことが7日、分かった。

 山形県教育委員会は類似事案がないか、各市町村教委に対して聞き取り調査を始めた。

 市教委によると、念書は、発作が起きた際に教職員の対応で後遺症が出ても学校に責任を問わないことや、教職員はアレルギーの急性症状を緩和する注射薬「エピペン」を使用しないなどとする内容。

 文部科学省は、緊急時は教職員が注射薬「エピペン」を使用できるなどの対応策をガイドラインにまとめている。

 小学校は市教委の指導を受けて既に念書を保護者に返却した。同校は「学校として十分な対応ができるか不安だった」と説明しているという。

【群馬】医療事故2年ぶり減、ヒヤリ・ハットは5年連続増加、県立4病院

県病院局は、2012年度に県立4病院で起こった医療事故が前年度比119件減の887件で、2年ぶりに減少したと発表した。患者に実害を与える前に誤った医療行為が発見された「ヒヤリ・ハット」は同243件増の3873件で、現行の調査方式になった07年度から5年連続の増加。県は「医療安全への意識が高まった結果。小さなものを早期に発見して積極的に報告することで、重大事故防止に役立っている」と分析している。

 同局によると、対象病院は、心臓血管センター(前橋市)▽がんセンター(太田市)▽精神医療センター(伊勢崎市)▽小児医療センター(渋川市)。

 医療事故は傷害の程度や継続性によって6段階に分類され、死亡、または後遺症や障害が残る上位3段階の該当はなかった。

 内容別では、医療事故は「観察」が最多の275件、次いで「転倒・転落」が185件、「チューブ類の使用・管理」が146件などとなった。

 具体的なケースとして、「外泊中に自宅で自傷行為に及び、救急搬送された」(観察)▽「夜間にトイレで転倒し、右足の骨を折った」(転倒・転落)▽「アルコールを使ってはいけない患者にエタノール消毒をし、皮膚にかゆみを伴う膨らみが出た」(その他)――などが報告された。【喜屋武真之介】

日医会長、増税を支持 「決断に敬意」

日本医師会(日医)の横倉義武(よこくら・よしたけ)会長は2日の記者会見で、来年4月の消費税率引き上げに賛成する考えを示した。

 横倉氏は「首相自ら、増収分を社会保障に充てると発表した。あえて国民に負担を強いる厳しい決断をしたことに敬意を表したい」と述べた。

 消費税を患者らに転嫁できない医療機関の負担軽減については「(2014年度の診療報酬改定で)通常の引き上げとは別に、増税分を明確に分けてほしい」とあらためて求めた。

道内低い検診受診率

道は北海道のがん対策を話し合う本年度の北海道がん対策推進委員会(会長・長瀬清北海道医師会会長)の初会合を3日、札幌市内で開いた。各委員は道に対し、全国的にも低い道内のがん検診受診率などについて意見や提案を出した。道の担当者が道がん対策推進計画(2013~17年度)や、4月から道が独自に指定を始めたがんの「準拠点病院」などを委員に説明した。10年度の検診受診率が最も低い肺がんで19%、最も高い子宮頸がんでも30%だったことから、同計画は検診受診率を「5年以内に50%以上」にするという目標値を掲げた。
                          北海道新聞 2013.9.11

介護自己負担2割に

 厚生労働省は24日、現在は一律1割となっている高齢者介護サービス利用の自己負担割合を、夫婦の年収が3百数十万円を越える世帯で2割へ引き上げる方向で検討に入った。介護保険法改正案を来年の通常国会に提出し、2015年度からの実施を目指す。単身世帯は年収250万~300万円程度を基準に検討する。対象は合わせて数十万人になる見通し。
                      北海道新聞 2013.8.25

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