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黙ってなんかいられない 歯食いしばり、闘った 「わが子よ」「出生前診断」

2006年2月、脳性まひがある福永年久(ふくなが・としひさ)(61)はダウンジャケットに身を包み、車いすに乗って新幹線で横浜に向かった。青い芝の会の活動を率いた横田弘(よこた・ひろし)に久しぶりに会い、インタビューするのが目的だった。

 70歳を過ぎていた横田は、活動が注目を浴びた1970年代を振り返り、一言ひと言、かみしめるように話した。

 「障害者は黙っていれば、守ってあげる。そんな空気を感じた」

 脳性まひの人たちによる青い芝の会は、健常者中心の社会に対し、障害者が人間らしく生きる権利を強烈に主張した。福永は「存在を否定され続けた障害者の自立の歴史を描きたい」と映画を作ろうとしていた。

 ▽正反対

 会員同士の親睦が中心だった青い芝の会は、70年5月に横浜市で起きた脳性まひの女児殺しがきっかけで転機を迎えた。わが子を手にかけた母親に同情論が出て「障害児施設の不足が原因」と減刑嘆願運動が盛り上がる中、青い芝の会は正反対の動きをした。

 母親をかわいそうだと言う人はたくさんいても、殺された子どもがかわいそうだという声は上がらない。「障害者は殺されて当たり前か」。駅前に車いすで集まりビラをまいた。

 この年の10月、青い芝の会神奈川県連合会の会報「あゆみ」に掲載された行動綱領の一節には「われらは愛と正義を否定する」とある。文案を作ったのは横田。

 障害がある子の将来を悲観して親が手にかける。「私が死んだ後、残されるこの子がかわいそうだ。今のうちに殺しておこう」。そんな一方的な親の愛はいらない、との思いを込めた。

 青い芝の会は各地で運動を展開した。障害者が入所する巨大施設の在り方を批判し、胎児チェックと呼ばれた羊水検査の公立病院での実施に反対、行政との交渉を繰り返した。

 福永によるインタビューの中で、横田はこんなことも語っている。

 「おなかの中で障害があると分かったら、障害者として生まれたらこの子がかわいそうだからと中絶をやる。何で親は勝手に決めつけるのか...」

 ▽占拠

 福永自身は70年代半ば、父親に黙って家出し、車いすをこいで川崎市にあった青い芝の会の事務所に飛び込んだ。そこで寝泊まりしながら、自宅に閉じこもっている脳性まひ者を訪ねては、外へ連れ出そうとした。横田からは「社会に打って出て、主張すること」の大切さを学んだ。

 青い芝の会は過激な行動でも知られ、77年4月には川崎市で市営バスにメンバーが乗り込み、"占拠"した。車いすでの乗車を拒否されたことが問題の発端で、市当局との交渉が進まない中での強硬手段だった。福永も参加し、車内で消火器を噴射した。

 左半身が不随で言語障害もある福永は、兵庫県西宮市の自宅でつばを飛ばしながら当時を熱く語り、「やりすぎもあったけどね」と笑った。

 横田らのインタビューをまとめた福永の映画のタイトルは「こんちくしょう」。障害者たちが歯を食いしばって闘った記録だ。(敬称略)

全51社保病院でずさん会計 決算118億円を修正へ 運営法人に改善命令

厚生労働省は30日、全国51の社会保険病院全てでずさんな会計処理が判明し、2012年度決算で計118億2800万円分の修正が必要になると発表した。田村憲久厚労相は事態を重く見て、病院経営を受託している社団法人「全国社会保険協会連合会」(全社連)に30日付で改善命令を出した。

 社保病院のずさん会計をめぐっては厚労省が3月、全社連の内部調査に基づき45病院で計30億6100万円に上ると公表した。しかし同省はその後、病院を保有する独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFO)に再調査を指示。RFOと監査法人が検証し直した結果、全病院で不適切な会計処理が見つかり、金額も4倍に膨らんだ。

 ずさんな会計のうち、伝票などがなく損益が生じた原因を説明できない金額は3億6700万円あった。このほかは大半が収支の計上年度の誤りや未収金の過大・過小評価で、決算を修正しても病院経営が行き詰まることはない見通しだ。

 再調査では、全51病院が計9億1千万円を簿外で処理していたことも判明。一部は職員の飲食に充てるなど「裏金」として使われていた。収益の一部を病院とは別名義の口座で保管しているケースもあった。 修正額が最多となるのは社会保険徳山中央病院(山口県周南市)で27億6300万円。修正額全体の内訳は特別損失が約63億円、特別利益が約49億円など。

 社会保険病院は3病院が売却済みで現在48病院。3月公表の調査は、12年9月時点で売却が決まっていた2病院を除く49病院を対象に実施した。

「サルコペニア肥満」に注意

肥満の指針としてメタボリック症候群が有名だが、近年、加齢によって筋肉が落ち、さらに脂肪がたまる「サルコペニア肥満」に関心が高まっている。高齢者は高血圧や転倒して寝たきりになるリスクが高く、注意が必要とされる。
                              北海道新聞 2013.8.7

誤嚥性肺炎「経験的な抗菌薬を」

臨床賛否両論「誤嚥性肺炎『すぐ抗菌薬』必要か」では、誤嚥性肺炎に対して、経験的な抗菌薬の投与を必要と考えるかを投票で聞いた。回答医師の6割が必要と回答しており、多数を占めていると分かった。

 投票者数は772人(投票期間2013年7月26日-8月1日)。「誤嚥性肺炎『すぐ抗菌薬』必要か?」との問いに対して、「必要である」と回答した医師が63%と多数に上った。「不要である」と回答した医師は15%にとどまった。「どちらとも言えない」と回答した医師は21%だった。

骨粗しょう症の診断基準改訂 寝たきり予防へ早く治療を

 転倒などの衝撃を受けたことも痛みもない。なのに、いつの間にか背骨が折れていた…。そんなありそうもないことが、高齢女性に多い骨粗しょう症では珍しくない。それ自体も不都合だが、より怖いのは、寝たきりに直結する、次の骨折のリスクが跳ね上がることだ。日本骨代謝学会などは今年、骨粗しょう症の診断基準を約12年ぶりに改訂した。狙いの一つは、こうした「隠れ骨折」を少しでも早く治療につなげることだ。

 静岡県の女性(69)は定期健診で「骨密度が低い」と指摘され、浜松市の聖隷浜松病院を訪れた。活動的な生活をしており、自覚症状は何もなし。しかしエックス線検査で、背骨の一部分がつぶれる圧迫骨折が見つかった。骨密度は若年成人の40%。骨粗しょう症でもろくスカスカになった背骨が、上半身の重みで押しつぶされたのだ。

●痛みがない

 診察した同病院骨・関節外科の森諭史部長によると、こうした背骨の骨折は女性の場合、60代後半から増えてくる。「長期間かけて徐々に骨がつぶれるため、3人に2人は痛みがない」という。

 この女性は、骨を丈夫にするカルシウムやビタミンDを食事で多めに取る、適度な運動をするなど、生活改善の指導を受けた上で、骨を強くする薬剤の服用を始めた。「つぶれた骨は残念ながら元の形には戻らないが、治療によって新たな骨折の危険は確実に減らせる」と森さんは話す。

 骨粗しょう症は、骨を「作っては溶かし、また作る」という新陳代謝のバランスが老化などで崩れ、溶かす方が優位になり起こる。国内の患者数は閉経後の女性を中心に推定1280万人。

 背骨、手首、腕の付け根、股関節の4カ所が折れやすくなることが知られているが、特に股関節の骨折は歩行が難しくなって寝たきりに直結する恐れが強いため、いかに防ぐかが大きな課題だ。

 対策の基本は食事と運動。知らないうちに症状が進行していることが多く受診は遅れがち。治療を受けているのは200万人程度にとどまる。

●リスク3~5倍

 海外の研究によれば、背骨の骨折があると、その後に股関節を骨折するリスクは3~5倍に急増する。背骨の骨折を少しでも早く見つけて治療につなげれば、少なくとも寝たきりの予防に役立つと期待されている。

 冒頭の女性のように外見からは骨折が分からないケースもあるが、背骨の前方がつぶれるため、背中が丸くなる人が多い。内臓が圧迫され、胃酸などが逆流して食道に炎症が起きる「逆流性食道炎」になる人もいる。

 今年1月に公表された骨粗しょう症の新しい診断基準は、背骨に骨折が見つかったら直ちに骨粗しょう症と診断し、治療を始めるべきだとした。診断基準改訂の中心になった宗円聡・近畿大奈良病院教授(整形外科)は「身長が2~3センチ縮んだら、老化などと片付けず、ぜひ整形外科で受診を」と話している。

高齢期の住み替え術 専門誌や相談窓口活用

センター長を務める「あんしん住まいサッポロ」は高齢者の住み替えや住宅のリフォーム、売却など、住まいに関する相談を無料で受けています。相談に応じるのは建築士や社会福祉士、ケアマネジャー、看護師、民生委員など。昨年度は電話を含め1260件の相談を受けました。「老老介護が大変。ケア付きではどんな住宅が?」「病院を退院しますが、自宅生活は不安」-など内容はさまざま。月-金曜日の午前10時から午後4時までで、電話は011・210・6224です。(西原桂子=あんしん住まいサッポロ、センター長)
                                北海道新聞 2013.8.1

食物アレルギー対応の研修会 エピペン使い模擬訓練

食物アレルギー疾患のある児童生徒の緊急時に的確に対応しようと、市教委は5日、市役所で市内小中学校の養護教諭、栄養教諭などの専門教諭を対象にした食物アレルギー対応の研修会を開いた。参加者はアレルギー症状を緩和する自己注射薬エピペンの練習器具を使った訓練などに取り組んだ。

 市教委は2005年度、「学校給食における食物アレルギー対応マニュアル」を作成。今回の講習会は東京都調布市の小学校で昨年、アレルギーを持つ女児が給食後に亡くなった事故が発生したことを受け、より実践的な対策を進めようと、開催した。

 研修会では、市保健所の上原里程保健医療監が食物アレルギーについて講演。参加した教諭約180人は、アレルギーやエピペンについて学んだ後、練習用エピペンを使い、打つ練習などを行った。

認知症の食事介助

①脳血管障害を原因とする認知症
 飲み込む機能が落ちているケースが多いためVF/VE検査して飲み込む機能を確認して飲み込みやすい食事(食形態、食事姿勢)を用意する
②レビー小体型認知症
 幻視が現れる。手足が震える振戦が起きることがある。介助している人は、手を支えて安定させる。食器の下にマットを敷いて滑らないようにする
 頭がはっきりしたときに食事の時間が来るように生活リズムを作る
③アルツハイマー型認知症
 一皿ずつ出す。箸やスプーンがうまく使えない場合は、おにぎりやサンドウィッチを用意する。口の中にため込む場合は、飲み込んでから次の食材を入れる。口が開かなくなった場合は、下唇にスプーンを触れると口の動きが出る。
 北海道新聞 平成25年7月4日

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