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窓口負担割合高いほど受診控え- 日医が初の調査

日本医師会(日医)は5日、会員の診療所や病院の外来患者を対象に行った医療費の窓口負担に関するアンケート調査の結果を公表した。それによると、過去1年間に経済的な理由で受診を控えたことのある患者の割合は、負担する医療費の割合に応じて高く、2割負担と3割負担では全体の1割以上を占めた。日医が窓口負担に関する調査を実施するのは今回が初めて。

会見で調査結果を説明する石川常任理事(5日、東京都内)
 調査は7月、日医の地域ブロックごとに無作為抽出した会員(開設・管理者)の診療所と病院合わせて839施設を対象に実施。同月の10、11、13日のいずれかの日を医療機関側が選択し、その日の外来患者に調査票に記入してもらう形で行われた。回答があったのは診療所336施設(回答率43.9%)、病院31施設(同41.9%)。調査に協力した患者数は8278人で、内訳は1割負担2788人、2割負担127人、3割負担3902人など。

 外来窓口で支払う医療費の負担感については、1割負担では「とても負担」「やや負担」を合わせて38.2%だったのに対し、2割負担は58.3%、3割負担は66.5%で、負担割合に応じて高かった。
 また、過去1年間に経済的な理由で受診しなかったことが「ある」と回答した人は、2割負担が10.2%、3割負担が11.5%で、いずれも2ケタ台に達し、「その結果、症状が悪化したことがある」と答えた人は2割負担が7.1%、3割負担が6.5%だった。

水分補給 必要量把握し飲む習慣を

普段使っている湯飲みやコップで水やお茶を何杯飲めば必要量に達するのかを知る方法があります。①市販の500ml入りペッとボトルの水またはお茶を準備②水やお茶を湯飲みやコップで飲み、空になるまでの杯数を記録しておく③「記録された杯数×3」が一日に必要な量に達する杯数となります。試してみると結構な杯数を飲まなければならないことが分かります。自宅にいる時は、水道水やお茶を意識して飲む習慣をつけましょう。
 また「むせるので水は飲みたくない」とい方は、とろみを付けたりゼリー状にする方法や、むせるのを防ぐ飲用器具もあるので、医療機関、保健所、各市町村の保健師や栄養士に相談してください。
                   北海道新聞 2012.8.9

プチ健診気軽に

最近、「プチ健診」などの名称で、血液や肝機能などの簡単な検査を受診できる医療機関が道内で増えてきている。気になる部分だけに限定した検査のため、低価格で短時間にできるのが特長だ。夏季限定で導入した医療機関もあり、受診してみてはいかがだろうか。
                              北海道新聞 2012.8.8

トレッドミル 狭心症診断にも利用

トレッドミルというより、ルームランナーとかランニングマシンといった方がお分かりかもしれません。足元の回転するベルトの上に乗って、走ることができる装置です。実は、私たち医療関係では、この機械をトレッドミルと呼んで昔から診断に利用していました。とくに、心臓の血管が挟まることで、心臓の筋肉が酸素不足になった胸痛が起こる「狭心症」という病気の診断に広く利用されています。
                  北海道新聞 2012.8.8

認知症高齢者グループホーム 少人数運営 優先的に選定

札幌市は来年度、市内4区で開業させる認知症高齢者グループホームについて、小人数で質の高いサービスを提案する事業者を優先的に選定する。1ユニット9人が一般的だが、市は6人を推進。利用者それぞれが落ち着いて暮らせる個別のケアの環境づくりに力を入れる目的だ。100社近くが説明会に参加予定で関心の高さがうかがえるが、経営面での課題も残る。
                   北海道新聞 2012.8.2

発達障害 本人初調査へ

自閉症やアスペルガー症候群などの発達障害者の支援強化に向け、道は本年度、本人や親、市町村などを対象とした本格的な調査に乗り出した。このうち、本人への調査は初めてで、今月中にも実施する。調査結果を踏まえ、乳幼児検診時に早期発見を促す取り組みなど、来年度以降の具体策を検討する。
                   北海道新聞 2012.8.4

安易な薬服用に警鐘

 日本うつ病学会は、多様化するうつ病を適切に治療するための医師向けの指針をまとめた。次々に開発されている抗うつ薬の有効性や副作用に関する情報を盛り込み、軽症者の安易な薬物療法に警鐘を鳴らしたのが特徴だ。学会が指針をつくるのは始初めて。厚生労働省の推計によると、国内のうつ病患者は1999年の約24万人から、2008年には70万人を超え急増。年間3万人を超える自殺の主な原因ともされている。同学会は最新の医学的知見を盛り込み、現在の医療体制や現場の実情を考慮した指針が必要と判断した。
                   北海道新聞 2012.8.1

適切なケアで再び食事も 胃ろうと老い その時どうする?

◇専門家チームが取り組み 地域ぐるみで在宅者支援

 胃ろうをつけたら、病院や施設は患者をただ寝かせているだけ――。介護する家族からはそんな不満の声が漏れる。だが、いったん胃ろうを作っても、リハビリや口腔(こうくう)ケア、介助や食事を工夫すれば、再び口から食べられるようになることもある。安易に胃ろうにしないよう、入院直後から機能回復に力を注ぐ病院もある。【稲田佳代、山崎友記子】

 おかゆ、肉じゃが、トマト。器用に箸でつまんでは口へ運ぶ。神奈川県厚木市の青木兼次郎(かねじろう)さんは、104歳になった今も、自力で食事している。

 5月末に誤嚥(ごえん)性肺炎を起こし、市内の東名厚木病院(杉山茂樹院長)へ運ばれた。医師から「肺が5分の1しか働いていない重症の肺炎です」と言われ、最悪の事態も覚悟した。ところが入院翌日、長男の幸雄さん(67)が見舞いに行くと、兼次郎さんは昼食に煮物を食べていた。「本当にびっくりしたよ」と笑う。

 「肺炎であっても食べながら治せる。目で見て、匂いをかいで、かむことで目が覚め、脳を刺激して、持っている力が発揮される」と、同病院の摂食嚥下(えんげ)療法部課長の看護師、小山珠美さん(56)。肺炎は一般的に絶食して治療することが多いが、小山さんは「高齢者こそ早く対処しないと、いざ退院に向けてリハビリをしようとしても、口の中は乾ききり、意識の状態も食べる力も落ちてしまうことになる」と話す。

 入院翌日の兼次郎さんは、熱も下がり呼吸も落ち着いたため、病院スタッフは上体を軽く起こしてゼリーを食べさせようとした。しかし、目を開けず、のみ込まなかった。小山さんは「食べ物を認識していないのでは」と判断し、兼次郎さんの体をさらに起こし、目で食べ物を見せ、手にスプーンを持たせた。すると、スムーズに食べ始めた。3日目には食堂で食事を取り、2週間で退院した。

 東名厚木病院でも以前は、絶食による肺炎治療を優先しがちだった。しかし06年から医師と専門の看護師、言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄養士らがチームを組み、治療と並行して早期に食べる取り組みを始めた。

 誰にでもむやみに食べさせるわけではない。安全に食べてもらうため、口の中の環境を整えたり、呼吸機能を高めるリハビリなどを同時に行ったりする。どのくらい食べる力があるか慎重に見きわめ、可能性を引き出すことが条件だ。07~10年度に担当した患者のうち、脳卒中で91・8%(636人)、経口回復が難しいとされる肺炎でも82・5%(358人)の患者が、口から食べられるようになって退院した。

     ◇

 神奈川県小田原市の特別養護老人ホーム「潤生園」では、食事の工夫や徹底した口腔ケアによって、最期まで口から食べられるよう力を注ぐ。

 「お魚はどうですか」。介護スタッフが、ベッドの上で目を閉じている正子さん(79)に声をかけ、口元にスプーンを近づける。正子さんは目と口を開け、一口分を含み、口を動かし始めた。スタッフはのどの動きを見ながらのみ下すのを待ち、ゆっくりと次のひとさじをすすめる。

 正子さんは末期のアルツハイマー病。今は意思の疎通も難しい。2カ月前には口が全く動かなくなり、水分も取れず「お別れ」を覚悟したこともあった。施設長の西山八重子さんは、正子さんの食べる様子に「人間の力はすごいと気づかされる」と驚く。

 潤生園ではのみ込みが悪くなった人や、むせやすい人も食べやすい食事を開発。同じメニューでも形状や水分量など5段階に分かれ、それぞれの能力や体調に合わせて提供される。

 10年前からは、食事が取れる口の状態を保つため、歯科衛生士が入所者に定期的な口腔ケアを行っている。食事が取れるだけでなく、肺炎で亡くなる人も大幅に減ったという。

 歯科衛生士の加藤明美さんは「認知症があると歯医者に行けず、歯のことは後回しにされがち。でも、歯や口内のケアが不十分だとしっかりかめず、うまく食べられなくなってしまう」と訴える。

     ◇

 地域ぐるみで口から食べることを支援する取り組みもある。東京都立川市、国立市など6市では、医療・介護関係者が連携し、高齢者が自宅で摂食・嚥下機能の診断やリハビリを受けられるシステムを作っている。

 「口腔ケアに来ましたよ。さすらせてくださいね」。歯科衛生士の駒村好子さんは、東京都国分寺市の住宅街にある一軒の家を訪ねた。脳内血腫で倒れ、重い要介護状態になった79歳の男性の自宅。駒村さんは、硬くなった男性の筋肉をほぐすように、肩や首をマッサージしたり、さまざまなブラシを使って歯や口の中を清掃したりした。歯科医の羽田亮さんがライトや吸引器を持ち、様子を見守った。

 男性は09年末に誤嚥性肺炎で入院し、胃ろうを作った。だが、翌年自宅に戻った後、嚥下機能の検査を受けると「ゼリー状のものなら口から食べられるのでは」と診断された。それ以来、主治医をはじめ歯科衛生士、看護師、作業療法士ら専門職が情報を共有し、男性の在宅介護を支えている。

 男性の妻(76)は「口腔ケアを受け始めてから口がよく動き、言葉も出るようになった」と喜ぶ。駒村さんは「好きなビールや焼き鳥を、少しでも食べさせてあげたい」と語った。

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 病院や施設、自宅にいても、その人の持っている力を生かすリハビリやケアが適切に受けられる――。胃ろうについて語る時、同時に、そんな体制をどう作っていくか考えるべきではないだろうか。毎日新聞社 8月22日(水) 配信

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