厚労省はこの中で、WHO(世界保健機関)からの情報を基にメキシコと米国における状況を報告した。メキシコでは、3月18日―4月26日に59例の死亡例を含む854例のインフルエンザ様症状のある患者が発生。このうち18例については、カナダで豚インフルエンザウイルス(H1N1亜型)であることが確認されており、12検体については米国で報告されている豚インフルエンザウイルス(H1N1亜型)と遺伝学的に同一と報告されている。
一方、米国政府は、7人の豚インフルエンザ(H1N1)確定症例(5人はカリフォルニア在住、2人はテキサス在住)と9人の疑い例を報告した。確定症例7人のうち、1人は短期間の入院を要したものの、全員軽度のインフルエンザ様疾患であり、死亡例の報告はない。
厚労省の対応としては、▽情報収集と提供▽流行地に渡航する人への注意喚起▽流行地から帰国する人への対応▽医療関係者への情報提供▽電話相談窓口の設置-が挙げられた。
厚労省によると、25日から厚労省に開設されている電話相談窓口には、26日の1日で836人から相談が寄せられ、その多くは「米国旅行やメキシコ旅行は大丈夫か」という内容だった。うち3人から「症状があって心配だ」との相談があったが、いずれも特段の問題はなかったという。厚労省では、電話相談窓口を午前9時から午後9時まで14回線を使って当面は継続する考えだ。
またワクチンの開発については、まずメキシコおよび米国の豚インフルエンザのウイルス株の特定に努めるとともに、豚インフルエンザの重篤性なども勘案し、季節性インフルエンザワクチンの製造を中断して豚インフルエンザ用ワクチンの製造に切り替えるかどうか判断するなど、必要な対策を実施することにしている。
ワクチンの製造が必要と判断された場合には、新型インフルエンザ対策行動計画を踏まえて、豚インフルエンザウイルス株を特定した後、鶏卵(有精卵)などが確保でき次第、パンデミックワクチンの生産を開始するよう、ワクチン製造会社に要請する方針だ。
豚インフルエンザワクチンの生産を決めて、ウイルス株を入手してから最初のワクチンができるまで、6か月かかる見通し。
更新:2009/04/27 20:31 キャリアブレイン