ようやく近畿・東海地方の梅雨が明け、夏らしくなってきました。でも、気象庁の予測では、今月は北日本から西日本にかけて晴れの日が少ない見通し。特に上旬は、晴れたり雷雨が降ったりと不安定な状況が続くようです。
お天気は今ひとつのようですが、この頃、夏の夕べの風物詩として定着して来たのは、若い人たちの浴衣姿。浴衣姿の人に納涼船やビヤガーデンなどの割引きサービスがあるせいか、都心でもよく見かけます。
夏場の和装には細かい決まり事があるので、はじめの頃は浴衣姿の人が電車に乗って来ると、ちょっと違和感がありましたが、最近は大歓迎!
特に最近の流行は、洋装に近い感じですね。帯留め代わりにレースのコサージュをつけたり、あえて洋風の華奢なバッグを選んだり、和風のミュールで遊んだり。浴衣は普段着ですから、アイディアを活かして華やかに楽しみましょう。
誰が着てもスリムに見える上、夏らしくて涼しい浴衣、男性も負けずにチャレンジしてくださいね。
さて、浴衣といえば、盆踊り。商店街や自治会の主催が増えて、週末に開催するところが多いようですが、本来の盆踊りは、お盆の行事の一環です。
お盆はもともと正月と対をなす、祖先の魂をお祀(まつ)りする行事。江戸時代までは旧暦7月15日がお盆の中心でした。ちなみにこの日は必ず満月で、街灯のない時代、祖先の魂が迷わずに家に戻れるように、真夏の明るい夜をお盆の中心に決めたようです。
お正月と同じように、祖先のために親類縁者が集まって、夏らしいご馳走を用意して、歌い踊って歓迎する風習は、なんとなく日本人らしいですね。
もともと伝統ある盆踊りの多くは、戦国時代に戦死者の霊を祭るために始まったところが多いようです。しかし、社会が安定するにつれ、念仏踊りや風流踊りの影響を受けて、共同体の楽しいイベントのひとつになっていきます。
そして、盆踊りが今のような庶民の楽しみになったのは、江戸時代。満月の下、小唄(こうた)やお囃子(はやし)が入って、みんなで歌い踊るのは、江戸時代のロックコンサートだったのかも。盆踊りの目的が、死者の鎮魂から、祖先崇拝を基にした庶民の芸能に変わっていったのも、この時代だといわれます。
日本の庶民の暮らしに深く根づいた伝統芸能ですが、意外なことに、盆踊りは二度も国から禁止されています。※
第二次世界大戦が終わってから、もうすぐ64年。浴衣を洋風にアレンジしたり、浴衣姿で電車に乗って花火大会や盆踊大会に遊びに行ったりできる自由は、私たちが思う以上に、たいせつなものなのかもしれません。