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広がり始めた嚥下内視鏡,在宅や一般外来でも嚥下障害に対応

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誤嚥性肺炎の原因となる嚥下障害の診療は、これまで一部の医療機関に限られていた。最近、持ち運びも可能な鼻咽喉内視鏡によって、在宅やベッドサイドで嚥下機能を評価する取り組みが広がり始めた。
「個人的な取り組みには限界があるので、システム化に取り組んだ」と語る柴耳鼻咽喉科の柴裕子氏。
 在宅医療の現場で、嚥下障害の診療に先進的に取り組んでいるのが神戸市医師会だ。

 2008年1月、医師会員を対象にした嚥下障害の相談窓口を開設。誤嚥が疑われる場合や、胃瘻造設後に再び口から食べたいという患者がいる場合に、主治医が医師会の相談窓口を介して、耳鼻咽喉科医に診療依頼をするシステムだ(図1)。

 窓口開設に当たって中心的役割を果たした柴耳鼻咽喉科(神戸市灘区)院長の柴裕子氏は、「以前から在宅ケア患者に対する嚥下障害の診療を行っていた。しかし、個人的な対応では限界があるため、嚥下障害の診療が普及することを目指して、システムを作った」と話す。

 神戸市では、現在、市内で開業している3人の耳鼻咽喉科医が、主治医からの依頼に応じて、鼻咽喉内視鏡を用いた嚥下機能評価を患者宅に出向いて行っている。

 「連携体制を構築できたので、今後は、相談窓口の認知度向上や、参加する耳鼻咽喉科医の数を増やしていきたい」と柴氏は意欲的だ。
日経メディカル2009年9月号「トレンドビュー」(転載)