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積極的な保健指導で体重・血圧減、ただし“指導抵抗性”も2割

2008年から始まった特定健診(特定健康診査、いわゆるメタボ健診)では、判明したリスクに応じて保健指導を義務付けているが、指導回数と効果を日本人で検証したエビデンスがない。この点に着目した東北労災病院勤労者予防センターの宗像正徳氏らは、全国9カ所の労災病院による共同研究で、指導回数と効果について検証、10月1日から3日まで滋賀県大津市で開催されている第32回日本高血圧学会総会で報告した。

 対象は、健康診断や人間ドック、内科外来の受診者で、メタボリックシンドロームと診断された人のうち、薬物治療を受けていない107人。1回の保健指導を受ける群と2カ月おきに3回の保健指導を受ける群に分け、6カ月後の体重、腹囲、血圧、血液データを比較した。

開始時のデータでは両群に有意差は認められなかった。平均年齢は50歳、男性が7~8割、BMIは27前後、血圧は正常高値、肝機能障害があり、耐糖能異常――など、「よく診るメタボの患者」(宗像氏)だった。両群から7人が脱落。1回指導群50人、3回指導群45人を最終解析対象者とした。

 結果は、1回指導群で体重が約3%減(-2.5±3.3kg)だったのに対し、3回指導群では5%(-4.1±6.2kg)減少した(p=0.08)。腹囲は同-1.8±4.4cm、-4.7±7.1cmと、3回指導群で有意に減少した(p<0.01)。肝機能、脂質、血糖については両群で改善が見られたが、血圧(収縮期血圧)は、1回指導群では低下がみられず(-1.7±12.8mmHg)、3回指導群のみ-4.8±14.6mgで有意に低下していた(p<0.05)。

「有意な降圧を得るには体重を5%以上減らす必要がある」と宗像氏。体重減とそれに伴う内臓脂肪の減少により、まずは代謝が盛んな肝臓の機能が改善し、次いで脂質異常や血糖値、最後に血圧が改善すると、同氏は考察する。今回の発表にはなかったが、体重や腹囲の減少と血圧低下は有意に相関したという。

 なお、指導により、1回指導群の20%、3回指導群の35.6%は体重が5%以上、減少していたが、両群とも対象者の2割程度は体重が変わらないか増加していた。これについて宗像氏は「ストレスや、転勤などによる環境の変化などがあり、指導しても変化がない“指導抵抗性”の人は一定の割合で存在する」と語った。