介護サービスを提供する上場企業の2009年4-12月期の決算が出そろった。介護部門では、施設入居率や稼働率の向上によって増収となる企業が目立ったが、処遇改善による人件費の増加や施設開設の費用などをカバーし切れず、営業減益となる企業も見られた。
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最大手ニチイ学館の4-12月期連結業績は、売上高1766億9300万円(前年同期比10.8%増)、営業利益は48億1000万円(前年同期は3億9200万円の営業損失)だった。このうち、介護サービス部門の「ヘルスケア事業」では、売上高884億9000万円(前年同期比18.4%増)、営業利益22億9600万円(前年同期は7億4700万円の営業損失)だった。
また、同社全体の10年3月期業績予想を修正した。営業利益は64億円を見込み、従来予想の54億7000万円から9億3000万円上方修正。ヘルスケア事業では訪問介護や居宅介護支援など在宅系サービスの収益性が向上しているほか、教育事業の主力講座である「ホームヘルパー講座」や「医療事務講座」についても、資格取得ニーズの高まりから受講生数が好調に推移している。一方、売上高は2350億円で、従来予想の2360億円から10億円下方修正された。医療関連事業での新規契約件数が想定より伸び悩む見通し。
ベネッセホールディングスの4-12月期連結業績は、売上高3016億5800万円(前年同期比2.7%減)、営業利益383億500万円(同5.1%減)だった。
このうち、介護事業を手掛けるシニアカンパニー部門の連結売上高は325億400万円で、8.7%の増収となった。ベネッセスタイルケアが介護付有料老人ホームを前期末から7施設拡大し、入居者数が増えた。一方、営業利益は16億8200万円で、前年同期比11.0%減だった。既存職員の処遇改善を図ったほか、新卒職員の採用を拡大したことなどにより、労務費が上昇したことなどが要因。
ツクイの4-12月期業績(非連結)は、売上高294億1700万円(同8.9%増)、営業利益12億8700万円(同11.8%減)だった。通所介護やグループホームなどの新規開設や既存事業所の稼働率向上が寄与した一方で、新規開設に伴う設備の初期投資費用や人件費などがかさみ、営業減益となった。
メッセージの4-12月期連結業績は、売上高236億6700万円(同19.1%増)、営業利益34億9600万円(同18.9%増)となり、増収増益を確保した。介護付有料老人ホーム「アミーユ」については、3施設の新規開設や入居率の向上、平均要介護度の上昇などが影響したほか、高齢者専用賃貸住宅「Cアミーユ」については、関西地区を中心に6拠点を開設したことなどが寄与した。
セントケア・ホールディングの4-12月期連結業績は、売上高152億8000万円(同1.6%増)、営業利益6億3100万円(同71.4%増)となった。通所介護やグループホーム、小規模多機能型居宅介護などのサービスで稼働率向上が寄与したほか、訪問系サービスでの不採算事業所の統廃合や現場の稼働管理の徹底などが奏功した。
ジャパンケアサービスグループの4-12月期連結業績は、売上高151億6600万円(同3.2%減)、営業利益5億3000万円(前年同期は9億9700万円の営業損失)だった。旧コムスンから承継した通所介護や小規模多機能型居宅介護が合算で黒字化したことなどが営業利益の改善に寄与した。
ワタミの4-12月期連結業績は、売上高857億400万円(前年同期比2.9%増)、営業利益38億9000万円(同13.8%減)だった。
このうち、介護付有料老人ホームなどの「介護事業」は、売上高127億7900万円(同18.2%増)、営業利益17億4400万円(同6.5%増)だった。関東地方を中心に新たに7施設を開設したほか、12月末時点の既存施設の入居率が95.6%(前年比3ポイント増)と高水準を維持したことなどが寄与した。
更新:2010/03/03 14:57 キャリアブレイン