記事一覧

歯周炎とリウマチ性関節炎

近年、歯周炎と全身疾患の関係が注目されている。歯周炎に対して喫煙、糖尿病、遺伝子多型などが危険因子として作用し、その有無によって歯周炎の発症頻度や重症度が異なることが疫学研究で明らかにされた。逆に、全身疾患の発症、進行に歯周炎が影響することも明らかとなり、心臓、循環器系疾患、早産、低体重出産、糖尿病や誤嚥性肺炎などの全身疾患のリスクが歯周炎により高まることが報告されている。
 今後、歯周病と全身疾患の関わりはペリオドンタルメディシン(歯周医学)として歯科、医科提携の重要な鍵を握っていると考えられる。
 最近、臨床的または疫学的研究により、歯周炎の罹患率、歯の喪失がリウマチ性関節炎患者において増加する傾向にあることが明らかになってきた。
★結論
 多くの臨床的、疫学論文において、RA患者には、歯周炎罹患、歯の喪失が高率に認められることが報告されている。また、慢性的に進行する歯周炎は、RAにおける免疫反応に誘導された炎症の発症、遷延化への直接的な原因となり得ると考えられる。
 さらに、両疾患に共通する遺伝的、環境的、行動に関する因子が症状を装飾している。RA関連因子のなかで歯周炎の発症・進行に関与する新たな経路が解明されると予想される。
             日本歯科医師会雑誌 Vol62 №12 2010-3