歯の痛みで、歯科医院に駆け込んだが、虫歯も歯周病も見つからない。原因不明と言われ、痛みに苦しむ人がいる。実は、歯が痛いからといっても、必ずしも歯が悪いわけではない。痛みを招いたのは、無意識のうちに常に口をかみしめている癖だった。弱い力でもかみ続けると、顔や首、肩にあるかむ時に使う筋肉が常に緊張し疲労した状態になる。
すると、周辺の神経が、痛みとして受け止め、その情報を大脳に伝える。ところが、大脳は筋肉だけではなく、歯からの痛みと勘違いして受け取ってしまうことがある。咀嚼筋の痛みを伝える神経と、歯の痛みを伝える神経は、後頭部の延髄という場所で合流しており、混線してしまうことがあるからだという。
読売新聞 2010.3.18