子どもこ頃に両親の家庭内暴力(DV)を見て育つと、脳の発達に悪影響を及ぼすことが、熊本大の友田明美准教授(小児発達学)らの研究で分かった。児童虐待防止法では暴力を目撃することも心的外傷を与えるとして児童虐待に当たるとされており、医学的に裏付けられた形だ。
研究は米ハーバード大と共同で米国人を対象に実施。3~17歳時に自身は虐待を受けず、日常的に父親が母親に殴るけるなどの激しい暴力をふるう姿を目撃した18~25歳の男女15人と、虐待のない家庭で育った33人を選び、MRIで比較した。その結果、目撃経験者は目からの情報を処理する右脳の「視覚野」の容積が、目撃したことのない人に比べ平均20.5%も小さかった。
視覚野の血流量を調べると、目撃経験者の方が8.1%も多く、これは神経活動が過敏になっている特徴だという。学力や記憶力も調べたところ、目撃経験者の方が低い傾向が出た。
4月23日/読売新聞