母胎で育つ胎児に唾液(だえき)腺などが形作られる際に鍵となるタンパク質を、大阪大と米国立衛生研究所(NIH)のグループがマウスで見つけ、30日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。
大阪大の阪井丘芳(さかい・たかよし)教授(口腔(こうくう)外科)は「唾液腺の機能不全が原因で起きるドライマウス(口腔乾燥症)を腺組織を再生して治療するなど、再生医療に役立つかもしれない」と話している。
このタンパク質は「Btbd7」で、グループはマウスの胎児の唾液腺の細胞を使い、発見。
唾液腺や腎臓、肺などでは、組織の表面積を増やして水分や酸素の交換効率を上げるため、たくさんの枝分かれ構造が作られる。枝分かれは、形成初期にできた裂け目が大きくなって生じるが、Btbd7はこの裂け目で多く作られていた。
Btbd7は細胞同士の接着を引き離す働きがあり、裂け目が大きくなって枝分かれができることも明らかにした。
Btbd7を働かなくした唾液腺では、枝分かれの数が半分以下になった。肺ができる際にもBtbd7が働いていることも分かった。
2010年7月30日 提供:共同通信社