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子どもの虫歯は親がうつした!?①

「お菓子ばっかり食べているからでしょ」、「歯をきちんと磨かないからですよ」と怒られてシュンとしながら、歯の痛みに悩まされた経験のある人は少なくないはずです。ところが、虫歯の原因はそんなところにはありません。「虫歯は感染症です」といったら、皆さんは一瞬耳を疑うことでしょう。


 感染症といえば、まっ先にSARSやインフルエンザ、エイズなどを思い浮かべますが、正確にはウイルスや細菌、寄生虫などの微生物が体内に侵入して、臓器や組織の中で増殖することを「感染」といい、その結果生じる病気を感染症といいます。
 SARSやエイズなどのように人から人へ伝染する病気のことを伝染性感染症、膀胱炎や破傷風などのように伝染しないものを非伝染性感染症といいます。虫歯は、SARSやエイズと同じく伝染する感染症なのです。
みなさんの中には甘いものの取り過ぎで虫歯になるとか歯垢が溜まって歯のエナメル質が溶けて虫歯になると考えている人が多いのではないでしょうか。「感染症だということは、うつらなければ虫歯にならないってこと?」と思われるでしょう。その通り、答えは「イエス」です。その証拠に、赤ちゃんの口の中には虫歯菌はいません。赤ちゃんには歯がないから当たり前だと思うかもしれませんが、虫歯の原因となるミュータンスレンサ球菌が本当にまったくいないのです。
 では一体、赤ちゃんに虫歯菌を誰がどこでうつすのでしょうか。一九九四年にスウェーデンで、お母さんの歯をきれいにすることによって、赤ちゃんの虫歯菌の感染を減らすという試みが行われ、その結果お母さんの歯をきれいにするだけで、赤ちゃんの歯を虫歯から守ることができました。このことから、お母さんが感染源であったと考えられるのです。