ゴー、ゴーと大人顔負けのいびきをかく子どもを見ると、かわいく思えてつい笑ってしまう。ところが、子どものいびきには成長に支障が出る危険が潜んでいるのだという。子どもの睡眠障害に詳しい滋賀医科大学の宮崎総一郎教授は「いびきがすべて悪いわけではない。ただ、呼吸が苦しくていびきをかいている場合、眠りが浅くなって頭と体が休まらず、昼の活動や成長ホルモンの分泌に影響が出る」と言う。子どもの睡眠障害で最も心配なのは、寝ている時に無呼吸になったり、呼吸障害を起こしたりしている場合だ。
宮崎さんによると、呼吸障害を招くいびきは、早い子どもで1歳くらいから起こるが、小学校へ入る前後の子どもが最も多くなる。口の奥にある口蓋扁桃や鼻の奥の咽頭扁桃が肥大し、空気の通り道が狭くなってしまうのが原因だ。本来、扁桃には菌の侵入を防ぐ働きがあり、この時期に大きくなるのは、免疫をつけるための自然な発育だ。大半の子どもが大きくなるが、成長につれて小さくなる。
手術をするかどうかの判断には、睡眠時の呼吸の障害の程度を調べる。自宅で検査する場合、寝ている時に鼻の下やおなかなどにセンサーを着け、呼吸の異常や血中の酸素濃度を測る。
朝日新聞 2010.8.30