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介護士らの医療行為を了承 たん吸引など、12年度から 厚労省、法案提出へ

厚生労働省の有識者検討会は13日、たんの吸引など、原則的に医師や看護師にしか認められない医療行為について、医師らの協力を前提とした上で、2012年度から介護職員も実施できるよう法整備を求めた中間報告を大筋で了承した。

 介護職員にも一定の医療行為を認めることで、医療と介護のサービスを同時に必要とする在宅患者の支援充実を図る狙い。厚労省は来年の通常国会に関連法案を提出する方針。

 今回認めるのは、口や鼻などからのたん吸引と、口で食事が取れない人の胃や腸に管で流動食を流し込む「経管栄養」。

 中間報告では、これらのケアを介護福祉士には業務と規定し、法的な位置付けを明確にする。在宅介護を支えるホームヘルパーらは、必要な研修を受けた場合に認める。

 ケアができる場所は、特別養護老人ホームなど介護施設や、障害者向け施設、患者が過ごす自宅などが対象。安全確保のため、医師や看護師との協力態勢を整えることを条件とし、具体的な基準は今後検討する。

 将来、他の医療行為への範囲拡大については、さらに議論が必要であるとして先送りした。

 たん吸引や経管栄養については、介護する家族の負担軽減につながるとして介護職員による実施を求める声が強く、厚労省は今年4月、特養職員に限り一部を通知で容認。職員の間では、なし崩しで押しつけられることへの不安が残り、厚労省は検討会で法的位置付けについて協議していた。

※介護職員の医療行為

 たんの吸引と経管栄養は、患者の安全確保を図るため専門知識を持つ医師や看護師しかできない医療行為とされており、特別養護老人ホームの介護職員らには「やむを得ず必要な措置」として容認されている。だが実際は、特養の職員が看護師のいない夜間に行うなど、介護現場では以前から線引きのあいまいさが指摘されていた。介護家族を中心に積極的な法制化を求める声がある半面、現場では他の医療行為にもなし崩しで適用されることを恐れ、慎重な対応を求める意見も強い。2010年12月14日 提供:共同通信社