虫歯のもとになる“ねばねば成分”を作り出す酵素について、静岡県立大などの研究チームがその立体構造を初めて解明したと17日発表した。
この酵素だけをねらい撃ちし、虫歯を効果的に予防する薬などの開発に役立つと期待される。
虫歯は、糖分の一種で粘着性の「グルカン」にすむ細菌から出る酸が、歯を溶かして起こる。グルカンは歯周病を起こす歯垢(しこう)の原因にもなる。グルカンを作るのはミュータンス菌の出す酵素「グルカンスクラーゼ」で、でんぷんを分解する酵素アミラーゼなどと似た構造だが、詳しい違いまではわからなかった。
同大の伊藤創平助教らは、この酵素を人工的に大量に作り出すことに成功。X線を使って分析した結果、アミラーゼにはないらせん状構造の部分などが、グルカンを作り出す機能にかかわっていることがわかった。グルカンスクラーゼの働きを邪魔する物質には、緑茶に含まれるカテキンがあるが、立体構造がわかれば、他の食品での探索や化学合成の手がかりになる。
2011年2月19日 提供:読売新聞