いびきによって一時的に息が止まる睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、03年にJR山陽新幹線の運転士が居眠り運転トラブルをきっかけに注目を集めた。いびきは、舌根が沈み、気道咽頭がふさがれて起きる。その時、10秒以上の呼吸停止が1時間に5回以上、あるいは一晩(7時間)に30回以上でSASと診断される。熟睡感が得られず、常に眠気が抜けないイメージが一般的だが、谷川武・愛媛大医学部教授は「眠気の自覚がないSASの方がむしろ多く危険」と指摘する。06年にトラック運転手5287人を対象とした調査では、10%に中等度以上の睡眠呼吸障害を確認した。だが眠気を聞くテストでは、重症者の76%が自覚していなかったことが判明。慢性的な眠気を加齢による疲れやすさと誤解し、缶飲料たたばこで紛らわすことが多いと考えられるという。
毎日新聞 2011年2月15日