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有料老人ホームの苦情相談、4年で1.8倍- 国民生活センターが注意喚起

国民生活センターはこのほど、有料老人ホームに関する相談が増加しており、今後もその傾向が変わらない恐れがあるとして、これまでに寄せられた相談について公表し、注意喚起した。それによると、2005年度に255件だった相談件数は、09年度には447件と約1.8倍に達し、10年度(今年2月時点)も前年度を上回る水準となっている。
 05年4月から今年2月末までの相談件数は2049件だった。内容の内訳(複数回答)は、「契約・解約」に関するものが1663件(81.2%)で最も多く、次いで「価格・料金」631件(30.8%)、「接客対応」446件(21.8%)などの順。年度ごとに見ても、「契約・解約」が75-85%の間で推移しており、最も多い相談内容になっている。

■入居一時金トラブル目立つ

 「契約・解約」の中でも、「入居一時金等の返還」をめぐる相談が05年度の63件から10年度には107件に増加。
 入居一時金をめぐっては、厚生労働省が06年の通知で、契約締結日からおおむね90日以内に契約を解除(死亡を含む)する場合に、一部を除き、入居一時金を返還する「90日ルール」(短期解約特例制度)を定めている。
 しかし、同センターによると、▽事業者が入居10日目に死去した利用者の家族に対し、入居一時金400万円を返還しない▽事業者が入居後約3週間で死去した利用者の家族に対し、事前交渉で半額になった100万円の入居一時金を、減額を理由に返還しない―などのケースが見られるという。

 また、「原状回復費用等の清算」をめぐる相談も、05年度の9件から10年度には31件と、増加傾向にある。

 同センターでは消費者に向け、契約前に入居一時金の返還の有無や入居期間にかかわらず返還されない初期償却の割合などについて、事業者から十分に説明を受けるよう呼び掛けている。このほか、90日ルールや入居一時金を含む前払金の保全措置が契約書に盛り込まれていることを確認するようアドバイスしている。
( 2011年04月04日 19:57 キャリアブレイン )