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看取りケアの施設職員らが意見交換- 医師との関係構築などで

NPO法人「全国高齢者ケア協会」は6月18日、「高齢者の尊厳ある看取り」をテーマに研修会を開き、看取りケアを実践している介護施設の職員らが、職員の意識向上や医師との関係構築のノウハウについて意見交換するなどした。

 意見交換では、看取り経験の浅い介護職員が利用者の死に恐怖を感じることについて、特別養護老人ホーム「マザアス東久留米」の小森雅子副施設長が、日ごろから利用者やその家族と関係を深め、看取り時の対応を予習しておくことで、「恐怖があるなりに看取れて、次への自信になる」と述べた。その一方で、利用者らとの関係を深めると、亡くなったときの喪失感が大きいとして、職員や家族、他の利用者を交えた追悼会や、看取りの経過を見直す職員会議を開いていることを説明した。これに対し、特養「みずべの苑」の川崎千鶴子施設長は、施設近隣で葬儀を行うことが多いなどとして、施設での追悼会は開いていないとした。ただ、看取りをうまく行えなかったのではないかと利用者への罪悪感を覚える職員に対しては、「『利用者は自分で亡くなる時間を選んでいる。あなたは選ばれたのだよ』と、周りが協力して励ますことも必要だ」と述べた。

 医師との関係構築については、川崎施設長が「開業医の場合、診療所の仕事もあるので忙しい。気遣いが大事だ」と指摘。具体的には、医師が忙しいときは用件を手短に済ませることや、深夜帯には急変以外で連絡しないと約束することを挙げた。さらに、医師が施設で死亡診断書を書いたときに家族と会わせることも大事だと強調し、「家族から医師に『ありがとう』と言ってもらう。書いてもらうだけでは、医師は『うまく利用されている』と感じてしまう」と注意を促した。小森副施設長は、「医師は、利用者の最期だけ家族と会っても深刻な話をしづらい」と述べ、入所して1週間以内に医師と家族が会う時間をつくっているとした。
 また川崎施設長は、職員が看取りをためらう原因として、「医師が死亡診断書を書いてくれないことがある」と指摘し、なぜ医師が書かないか理由を考える必要性を訴えた。特に、医師が利用者の普段の状態をあまり把握していない場合は、いきなり死亡診断書を書かせるのではなく、日ごろからさまざまな事例について対処法を聞くなど、医師と積極的にかかわっておくことが重要だとした。