前立腺がんの腫瘍マーカーで血液検査に使われるPSA(前立腺特異抗原)は患者の唾液にも含まれ、がん手術後の再発や転移を調べるのにも有効だとの研究結果を、神奈川歯科大の槻木恵一(つきのき・けいいち)教授(唾液腺健康医学)らのグループが2日までにまとめた。
PSAはがん以外の前立腺の病気でも数値が上がる。唾液は血液に比べ採取が簡単なのが利点で、槻木教授は「大規模な研究を進め、がん手術後の検査だけでなく、がんを含めた前立腺疾患の検診にも使えるようにしたい」と話している。
PSAは普通に前立腺から分泌される物質だが、がんなどの患者では血中の濃度が高くなる。グループは、唾液が血液から作られ血液成分を反映していることに着目。唾液を分泌する唾液腺ではPSAが作られないことも確認した上で、前立腺がんの手術をした患者31人の血液と唾液中のPSAとの関係を調べた。
その結果、術後に再発や転移が見つかった11人は、PSAの血中濃度が1ミリリットル中2・5ナノグラム(ナノは10億分の1)以上と高かった上、血中濃度が上がるにつれ唾液中の濃度も上がっていた。一方、経過が良かった20人は血中濃度が低く、PSAは唾液にもほとんど含まれていなかったという。