暑い日の水分補給は大切だが、飲み物選びには注意が必要だ。糖分の多い清涼飲料水の取り過ぎで高血糖状態になる「ペットボトル症候群」と、酸で歯が溶ける「酸蝕症」について専門家に聞いた。症候群の正式名は「ソフトドリンクケトーシス」。糖分の取り過ぎでインスリンの供給が間に合わず、高血糖状態になる。進行すると全身倦怠や意識障害、体重減少などを起こし、命を落とす場合もある。酸蝕症とは、酸によって歯のエナメル質や象牙質が溶かされること。虫歯の原因は細菌がつくる酸だが、酸蝕症は食べ物や飲み物、食品添加物に含まれる酸が原因だ。酢やかんきつ類のほか、清涼飲料水でも起きる。口の中が酸性になっても普通は唾液で中和され、歯の表面のミネラルが溶けても唾液中のミネラルで元に戻る。だが長時間、歯が酸にさらされ、中和される前に歯磨きで摩擦されると、歯が溶けたり削られたりする。
東京新聞 2011.8.16