日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会は11月2日、厚生労
働省内で会見し、環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加について
「国民の医療の安全と安心を約束しない限り、交渉への参加を認
めることはできない」と表明した。政府に対しては「TPPで将来に
わたって日本の公的医療保険制度を除外すると明言する」「混合
診療の全面解禁を行わず、医療への株式会社の参入をさせないこ
とを個別、具体的に国民に約束する」の2点を求めた。
会見には日医の原中勝征会長、日歯の大久保満男会長、日薬の児
玉孝会長らが出席し、日米経済調和対話や米韓経済連携協定
(FTA)などこれまでの米国の通商政策の内容を示し、公的医療
保険制度がTPPに取り込まれる恐れがあると危機感を示した。
公的保険を除外する明言の仕方について、原中会長は「文書で出
していただければ一番良い。できればそうお願いしたい」と求め
た。さらに、原中会長はTPPの具体的な内容が分からないとした
上で「どこまで医療保険を守れるか非常に心配だ」と述べ、株式
会社の参入や混合診療の全面解禁など、これまでにも国民皆保険
を脅かす議論があったとし「少しでも風穴が開けられて、崩壊す
ることがあってはならない」とした。
大久保会長は「国民皆保険は、医療関係者と国民と国とが長い時
間をかけて醸成して今に至ったもの」で、「国際市場に投げ入
れることは論理的に全くあり得ない」と述べた。「政府からTPP
に医療を入れるつもりはないと聞いている」が、「政府がやらな
いと思ってもどういう事態になって議題に上がってくるか分から
ない」とし、「この議題が出てきたら席を蹴って立つぐらいの覚
悟を示してほしい」とした。児玉会長は、これまでにも米国は新
薬創出・適応外目解消等促進(新薬創出加算)などを迫ってきた
と説明し、「薬価の制限を実質、撤廃するような動きをしている
節がある」と警戒感を示し、混合診療の全面解禁につながる恐れ
があるとした。