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飲食物の酸で歯が溶ける「酸蝕歯」

ジュースや栄養ドリンク、ワインや柑橘類などに含まれる「酸」によって、
歯質が溶ける「酸蝕歯(さんしょくし)」の患者が増えているという。 
う蝕は細菌が作り出す酸によるが、酸蝕歯は飲食物の酸によって歯質
が溶ける。エナメル質が溶け象牙質が透けて黄色く見えたり、歯の先
端がひび割れ、咀嚼機能が低下したりする。冷水痛など知覚過敏の症
状が出ることもある。「ワインなど酸性の飲み物をチビチビと長時間
にわたって飲むと、歯が酸にさらされる時間が長くなり、酸蝕歯のリス
クが高くなる。食べ方、飲み方が問題になってくる」大阪府歯科医師会
産業歯科保健対策推進室室員を務める中道哲歯科医師は警告する。
その症例として、健康維持のため毎晩、黒酢を飲んでいた40代の男性
は、上顎前歯の口蓋側が溶けて薄くなり、酸蝕歯と診断された。黒酢を
飲んですぐ寝るという生活習慣の他に、前歯で舌をかむ癖があったこ
とも歯の摩耗を進行させたという。もう一人は、奥歯の冷水痛による
知覚過敏の症状を訴えた60代の男性。酢の物が大好物で、歯を食いし
ばる癖があった。
「酸にさらされたエナメル質は一時的に柔らかくなるので、摩耗を避ける
ため歯磨きは20~30分後にして、歯の再石灰化を促すようフッ素入り
の歯磨き剤でややソフトにブラッシングしたり、飲食後に水で口をすす
いだりするのもよい。食いしばりなどの癖をやめる方がよい。」