口腔内常在菌である真菌(カビ)の一種、カンジダ菌が歯周病菌の
歯肉への侵入を進行させるという実験結果を、奥羽大歯学部口腔病
態解析制御学講座の玉井利代子准教授が発表している。この研究の
論文は微生物学免疫学に関する国際的な学術雑誌「マイクロバイア
ルパソジェネシス」に掲載された。カンジダ菌は中高年になると検
出される割合が増え、50代では約半数の人から検出されるという。
玉井准教授は中高年がカンジダ菌の保有率や歯周病になる割合が高
いこと等を踏まえ「カンジダ菌が口腔内で発生した場合は、歯周病
の原因菌である歯周病菌の働きが高まる」という仮説を立て、2年
前より実験をスタートした。シャーレで人の歯肉の細胞を培養し、
カンジダ菌と触れた細胞と触れていない細胞の歯周病菌を取り込む
割合を比較した結果、触れた細胞は触れていない細胞の3倍、歯周
病菌を取り込みやすいことを確認し、歯周病がカンジダ菌で進行す
ることを突き止めた。歯周病菌は歯周病だけでなく、動脈硬化等の
原因の一つとも言われ、口腔内を清潔に保つことはこれらの予防に
も繋がるといえる。歯磨きやうがい、義歯の手入れ等により歯周病
や動脈硬化、心筋梗塞等のリスクを減らせるという、口腔内環境改
善の重要性を再認識する結果である。