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「 医薬品の輸入が大幅に増加しています 」 

政府発表による2011年の日本の貿易統計では輸出が約8,210億ドル、輸入が
約8,530億ドルで約320億ドル(約2兆5千億円)の輸入超過と通関ベースでは、
31年ぶりの貿易赤字となったことが、すでに報道されております。東日本大震
災による自動車を中心とする輸出の減少、火力発電用の液化天然ガスや製造設
備の被災によるプラスチックの大幅な輸入増加など、特殊要因によるものとさ
れております。
 分類別(9分類)貿易収支では、鉱物性燃料▲約21.6兆円、食料品▲約5.5兆
円、原料品▲約4.3兆円、その他▲約0.5兆円が輸入超過(▲)で、輸送機器類
約12.3兆円、一般機械約8.8兆円、電気機器約3.6兆円、原料別製品約2.7兆円、
化学製品約0.7兆円が輸出超過です。
 化学製品に含まれる「医薬品」単独では▲約1.3兆円の輸入超過。輸出金額は
ここ10年間くらい3,700億円前後で横ばいなのに対し、輸入は5~6年前から急激
に増加傾向を強め、2011年の輸入金額は1.7兆円に達しました。
 慢性骨髄性白血病治療薬のグリベック、乳がんのハーセプチン・・・がん細
胞だけを狙い撃ちする分子標的薬は2000年代に急速に広がりました。患者一人
当たりの薬剤費は月数十万円と高額なものが多く、ほとんどが海外メーカー開
発であり、医薬が進歩すればするほど輸入が膨らむ構図になってしまっている
と言われております。

 米国研究製薬工業協会(PhRAM)が発表した調査報告書「ワクチン2012」
によれば、現在米国で臨床試験(治験)に入っているワクチンは295製品もあり、
バイオ医薬の主役に定着した抗体医薬でも臨床試験中の製品は300件。ワクチン
は抗体医薬とほぼ肩を並べるまで商品化が進んできており、しかも、今まで感
染症予防が主眼だったワクチン開発が、がんやアレルギー疾患の治療、生活習
慣の改善など、新たな用途に展開しつつあることに注目されております。
 遺伝子操作技術進展やゲノム解析技術進化の2つの技術革新と、米国立衛生
研究所(NIH)の研究方針転換により、米国は医療経済の面から早期発見・
早期治療・予防という、いわゆる待ち伏せ医療の研究に力を注いでいると言わ
れております。

 日本に今押し寄せているワクチン商品化の波は、一世代前に欧米で進んだ感
染症ワクチンの実用化の波が主で、臨床開発の最終段階である第3相臨床試験
に入った多くの製品による第2、第3のワクチン実用化の波が押し寄せようとし
ております。国民の健康長寿を支えるとともに、貿易立国日本の医療技術・医
療機器・医薬品関連産業の成長産業化のための政策実行と、実行のスピードア
ップがますます求められております。