「65歳以上は高齢者」という常識がもうすぐ変わるかもしれない。国の検討会が3月、この年齢で一律に高齢者とする考え方の見直しを提言。政府が近く閣議決定を目指す新しい「高齢社会対策大綱」に盛り込まれる見通しだ。65歳以上は2055年に人口の4割に達するとみられ、現役世代だけで支えていけるのか心配されている。高齢者像が変われば、元気な人は働いて「支え手」に加わってもらう政策につながりそうだ。社会はどう変わるのだろうか。
何歳から高齢者と言えるのか。専門家によると統一基準はないが、65歳以上とされたきっかけは、国連が1959年にまとめた報告書の年齢区分だという。55年時点の日本人の平均寿命は男63・60歳、女67・75歳で「65歳=高齢」に違和感はなかった。65歳はその後、基礎年金支給や介護保険の利用、多くの高齢者施策の対象年齢になった。
ところが高齢化で事情は激変。2010年の平均寿命は男79・55歳、女86・30歳。内閣府が09年、60歳以上に実施した調査では、65歳以上を高齢者と考える人はわずか11%。総務省調査(07年)では65~69歳の男性の半数が働いている。