岩手県歯科医師会は12日までに、東日本大震災後に歯型照合により多数の遺体の身元を確認した経験を基に、犬歯や臼歯といった特徴的な8本の歯の有無で遺体の身元を絞り込む新たなシステムを国内で初めて開発した。15日の日本法歯科医学会(東京)で発表する予定。
表計算ソフトのエクセルを応用した独自の照合システムで、同歯科医師会は「将来の大災害に備え、この手法を広く紹介したい」としている。
歯型照合による身元確認は日航ジャンボ機墜落事故(1985年)などで有効性を知られたが、日本には統一的な作業マニュアルや照合システムはなかった。
同歯科医師会では震災後、1300遺体の歯型を照合。陸地よりも海中の温度が高く、腐敗で歯が抜け落ちた津波犠牲者も多かったうえ、生前のカルテは津波や火災で約7割が消失、作業は難航した。
試行錯誤を繰り返すうちに、32本の歯のうち面積が比較的大きく、死後も抜けにくい上下左右の犬歯と第一大臼歯の計8本の重要性に着目した。