目配せで同じ物に注意を向ける「目と目で通じ合う」のが、高機能自閉症の人とそうでない人の間では難しいことを、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)や福井大などの研究チームが、脳活動を磁気共鳴画像装置(MRI)で記録して確認した。研究成果は25日までに、欧州の科学誌電子版に発表された。
研究チームは「一般的に、自閉症の人は視線を介したコミュニケーションが苦手とされていたが、脳活動の記録でも裏付けられた」とした上で「この記録方法で、自閉症の人とそうでない人が、よりよくコミュニケーションする方法が見つかる可能性がある」と話している。
研究チームは、脳の機能が分析できるMRI2台を使用。画面を通じてまず互いに目を見つめ合い、一方が目配せで自分が注意を向けている方向を相手に伝え、2人が同じ場所に目線を向ける時の脳活動を記録することに成功した。
その結果、自閉症でない人同士では同じ物を見ている時に、脳で他人との協調など社会性を担う「右下前頭回」で活動の同調が見られたが、自閉症とそうでない人のペアでは同調はみられなかった。
また、自閉症でない人が自閉症の人の目を見る際は、通常より右下前頭回の活動が活発になっていたという。研究チームは「自閉症の人の視線をより頑張って読み取ろうとしたからではないか」と説明している。