東京都中央区の歯科医院で2007年、顎の骨に歯根を埋めて義歯を付けるインプラント手術で女性=当時(70)=を死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた歯科医師飯野久之(いいの・ひさし)被告(68)の公判が14日、東京地裁(吉村典晃(よしむら・のりあき)裁判長)であり、検察側は禁錮2年を求刑、弁護側は無罪を主張して結審した。判決は来年3月4日。
被告が歯根を埋めるために口の内部からドリルで削った下顎の部位について、検察側は論告で「動脈を傷つける可能性があることは予見できた」と指摘。弁護側は最終弁論で「当時は歯科医師の間で動脈損傷の可能性は知識として共有されておらず、過失責任はない」と反論した。
起訴状によると、被告は07年5月22日、女性の下顎の骨を削った際、誤って動脈を傷つけて大量出血させ、血腫が原因の窒息による低酸素脳症などで翌日に死亡させたとしている。