記事一覧

酒販売量少なく貯蓄多い県ほど、低いものは

自殺死亡率が全国の都道府県で最も低い奈良県は、要因を各省庁の統計データを基に分析し、「酒類の販売量が少ないほど、また、貯蓄の額が多いほど、自殺死亡率が低くなる傾向がある」とする調査結果をまとめた。

 県自殺対策連絡協議会(座長=神沢創・帝塚山大教授)が昨年4月から調査した。奈良の人口10万人あたりの自殺死亡率は2011年で17・4人。過去10年で最も低かった年が5回あり、残りの年も40位以下だった。全国平均は24・06人。

 酒類1人あたりの年間販売量(10年)は、奈良は66・8リットルで41位。自殺死亡率が19・3人(46位)の三重は66・4リットルで42位、20・8人(42位)の岐阜は65・9リットルで43位だった。一方、33・1人(1位)の秋田は93・9リットルで5位、25・9人(9位)の高知は100・8リットルで2位だった。

 世帯平均貯蓄額(09年)でみると、2位の奈良は1899万1000円。1位の香川は1972万5000円で自殺死亡率が20・7人(45位)だった。一方、38・1人(1位)の秋田は貯蓄額40位、34・6人(2位)の青森は同46位。過去の調査でも、同様の相関関係が確認できたという。

 神沢教授は「調査結果を踏まえた対策を進め、自殺する人を一人でも減らしてほしい」と話した。
読売新聞 1月1日(火)