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口腔ケア がん患者に効果

口内を清潔に保つ口腔(こうくう)ケアをがん患者らに行うことで、合併症を防いだり、入院日数が減ったりするなどの効果が見込まれるとの調査結果がまとまった。

 調査チームを率いた信州大付属病院は県歯科医師会と連携し、在宅療養のがん患者が自宅近くの歯科医院などで口腔ケアを継続して受けられるような態勢づくりに乗り出す。

 口腔ケアとは、虫歯を治したり、歯垢(しこう)を除去したりして口の中を清潔に保つこと。がん患者の場合、抗がん剤や放射線治療の副作用で口内が荒れやすい。口内を清潔に保たないと細菌が増え、細菌が血液に入る「菌血症」や肺炎などの合併症を引き起こしやすい。

 調査チームは、信大付属病院のほか相沢病院(長野県松本市)、長野市民病院の歯科医らで構成。2011~12年度に、3病院に入院するがん患者を対象に行った。

 信大付属病院が食道がん患者に手術前から口腔ケアを実施したところ、しない場合と比べ、術後の絶食期間が18・8日から13日に、入院日数も32・8日から25日と約1週間短くなった。

 相沢病院の調査では、術後の合併症発症率が、実施しない場合に比べ32・2%から4・3%に低下。長野市民病院の調査では、口内の粘膜炎が原因で化学療法をやめなければならない患者の割合が減った。

 チームリーダーの信大医学部の栗田浩教授(50)は「がん治療と並行して口腔ケアを行うと、回復が早まり、合併症のリスクも減らせるという貴重なデータを得られた」と話す。

 県歯科医師会と信大付属病院は、同病院のほか県内七つの「がん診療連携拠点病院」でも口腔ケアの取り組みを広げていく方針。歯科医師会の笠原哲三歯科医師(56)は「県内全域で口腔ケアの大切さについて意識を高め、患者のQOL(生活の質)の向上が図れれば」と期待している。
読売新聞 2013年11月1日(金) 配信