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北大病院で脳死心臓移植 道内は「和田移植」以来

北海道大病院(札幌市)は6日、関東地方の病院に頭部外傷のため入院し、脳死と判定された成人男性から摘出された心臓を20代男性に移植する手術を開始した。同日夕に終了する見通し。北海道内で心臓移植が行われるのは1968年に札幌医大で実施され、議論になった「和田移植」以来。

 北大病院は道内で唯一、成人の心臓移植実施施設に認定されている。

 日本臓器移植ネットワークによると、男性は運転免許証に臓器提供の意思を示しており、臓器移植法に基づき5日、脳死判定された。脳死移植は、法施行後252例目。

 心臓のほか、肺は京都大病院で片方ずつ2人の20代男性、肝臓は神戸大病院で50代女性、膵臓(すいぞう)と片方の腎臓は広島大病院で50代男性、もう片方の腎臓は東京医科大八王子医療センターで60代女性に移植。小腸は医学的理由で断念された。

 「和田移植」は68年8月、第2外科教授だった和田寿郎(わだ・じゅろう)氏(2011年死去)が北海道小樽市の海岸で溺れた当時21歳の男性の心臓を心臓弁膜症で入院していた当時18歳の男性に移植した国内初の心臓移植手術。移植を受けた男性は同10月、死亡した。

 この移植で和田氏は殺人容疑で告発され、嫌疑不十分で不起訴処分となったが、医療技術や倫理の面で臓器移植の是非を問う議論をもたらした。