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【北海道】高齢者らの歯、訪問して診療 岩見沢歯科医師会、介護関係者と連携強化

【岩見沢】岩見沢歯科医師会(鍵谷隆一会長)が、寝たきりや病気で通院が困難な高齢者などを対象とした訪問歯科診療の普及に力を入れている。ケアマネジャーやヘルパーとの連携強化のため、連絡票の作成や介護関係者向けの講習会を企画。南空知圏では訪問歯科診療の認知度が低く利用が低調なため、需要の掘り起こしにつなげたい考えだ。

 12月下旬、岩見沢市内で開業する歯科医師山田貴文さん(47)が、クリニックから車で5分ほどの女性(86)宅を訪れた。女性はパーキンソン病で歩行が困難な上、日中の介護は90歳の夫が中心。義歯を支えていたブリッジが折れ新調する必要があったが、通院が難しく訪問を依頼した。

 この日は20分ほどかけて新しい義歯のかたどりをした。女性は自宅の慣れたソファに腰掛け、リラックスした様子。夫は「合わない入れ歯を無理して使っていた。本当にありがたい」と喜んだ。

 診療報酬で認められている訪問歯科診療は、診療所から16キロ圏内が対象。現在市内の歯科医院49軒のうち、26軒が訪問に応じている。治療は義歯の作製や調整、口腔(こうくう)ケアが中心だ。虫歯の治療については、持ち運びできる治療機器などが必要なため、対応できる診療所は限られている。

 岩見沢歯科医師会は、2010年に訪問歯科診療に関する相談窓口を開設したが、年間の利用件数はわずか数件にとどまっていた。在宅療養の鍵を握るケアマネジャーらとの連携不足が要因の一つとして、同会は本年度から歯科医療と介護の連携強化に乗り出した。

 岩見沢医師会や市内の訪問介護ステーションの関係者と検討会を立ち上げ、在宅療養での口腔ケアの重要性などを説明した手引や、ケアマネジャーと歯科医師との情報交換用の連絡票を作成。今春にも南空知の居宅介護支援事業所などに配るほか、3月には介護関係者向けに訪問診療への理解を広めるための講習会を開く予定だ。

北海道新聞 2014年1月8日(水) 配信