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70~74歳は窓口負担2割に 4月から特例解消 「医療費引き上げ」

70~74歳の医療費の窓口負担を、4月から段階的に2割に引き上げることが2014年度予算案に盛り込まれた。06年に成立した医療制度改革関連法で決まっていたにもかかわらず、負担増への反発を恐れた政治家らの圧力によって実施段階で先送りされた特例が解消する。

 当事者の家計への打撃は大きいが、医療保険財政の中で、現役世代から高齢者への支援金が大幅に増加し、世代間の公平を求める声が強まっていた。

 06年改革は、超高齢社会への対応を目指し、高齢者の負担を増やしたのが特徴。その一環で08年4月から70~74歳の負担割合を1割から2割に引き上げると決めた。しかし当時の自公政権下で国政選挙の苦戦が続いたことから延期に。民主党政権下でも特例が継続し、年約2千億円を補正予算で確保してきた。

 一方、現役世代から高齢者医療への支援金で、大企業社員らの健康保険組合や、中小企業が中心の全国健康保険協会(協会けんぽ)の負担は増えた。健康保険組合連合会の12年度決算見込みでは、支援金は07年度に比べ35%増の3兆1328億円に上り、保険料収入の46%を占める。

 健保連の霜鳥一彦(しもとり・かずひこ)理事は「今や保険料上昇の主な原因は高齢者への支援金だ」と説明。協会けんぽでも支援金が保険料収入の45%に達し、世代間の不公平を改善すべきだとの声が高まっていた。

 消費税増税で国民に幅広く負担を求めることもあって、政府、与党は昨年12月、特例の打ち切りに踏み込んだ。4月以降に70歳になる、1944年4月2日生まれ以降の人から2割負担にする仕組みで、それまでに70歳になっていれば、ずっと1割負担のままだ。

 千葉市で飲食店を経営する男性(71)は、医療費引き上げのニュースにショックを受けた。店と年金を合わせて月収約11万円の男性にとって、医療費が増えれば家計が苦しくなる。

 男性は高血圧と糖尿病が持病で、月1回受診し、5種類の薬を飲んでいる。窓口負担額は通常月約3500円。2割負担は、この支払額が2倍の約7千円になることを意味する。実際には、すでに70歳を過ぎているため、負担増にならないと分かった男性は「私は助かったけど、年を取ると、どうしても病気になるので、医療費が増えるとつらい」と話す。