国立国際医療研究センターは1月29日、胃瘻と腸瘻に関して世界で2番目に規模の大きい研究を実施し、日本での造設件数は年間9万6000-11万9000件に上ると推定、入院中に1割強の患者が死亡していると発表した。当調査は2007-2010年に胃瘻または腸瘻の造設術を受けた6万4219人を対象に、新規造設数や入院中の死亡率、危険因子を調べたもの。国府台病院内科の酒匂赤人氏ら研究グループの成果。
研究グループは、日本の急性期病院の退院患者の4割以上をカバーするDPCデータベースを後ろ向きに解析。胃瘻、腸瘻の造設術を受けた患者の平均年齢は77.4歳で、60歳以上が90%を占めた。診断名は脳血管障害と肺炎が最も多く、次いで神経筋疾患と認知症となっていた。入院中の死亡率は11.9%に上り、危険因子は男性、高齢、腸瘻造設、緊急入院、床数の少ない病院、悪性腫瘍、肺炎、心不全、腎不全、慢性肝疾患、褥瘡、敗血症、腹膜炎、消化管穿孔、消化管出血、腹腔内出血だった。
研究グループは、胃瘻や腸瘻造設術を受けた患者の1割強が入院中に死亡していることから、当調査で明らかになった危険因子も考慮して導入を決めることが望ましいと説明。大規模研究で得たデータを基に、国民的議論を進めてほしいと述べている。