生活保護の不正受給について、地方自治体が2012年度に把握した件数は約4万2千件、総額は約191億円だった。前年度と比べ、件数は約6千件、総額は約17億円増え、それぞれ過去最多を更新した。厚生労働省が3日、集計結果を公表した。自治体が不正受給の調査を強化しているのが主な原因とみられる。
不正受給の内容別では、「働いて得た収入の無申告」(件数全体の47%)、「年金収入の無申告」(同21%)などが目立った。不正が見つかったきっかけは、行政側の調査が大半だが、外部からの通報も6%あった。
不正受給額の増加は3年連続で、09年度と比べ倍増した。生活保護を受ける人が増え続けていることが背景にあるが、不正の増加ペースは受給者全体の伸びより大きい。生活保護費全体に占める不正分の割合は、09年度の0・34%から12年度は0・53%に上がった。
厚労省は「各地の自治体が、受給者の課税状況や年金収入の調査を強化した効果が表れている」と説明する。同省は11年に自治体に調査の徹底を求め、転出した人や受給が終わった人も含めて、チェックを強化した。ただ、収入を得たのに税務申告しないといったケースまで見つけるのは難しく、担当者は「全容をどこまで把握できているかはわからない」とも漏らす。
不正受給に対する厳しい世論や与党の声を受け、政府は対策をさらに強める姿勢だ。昨年に生活保護法を改正し、自治体が受給者の求職活動や健康状態などを調べる権限を明記。罰則も7月から強化する。
朝日新聞 2014年3月3日(月) 配信