「我家の年賀状」 飯島国好先生のエッセイ
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「我家の年賀状」
東京都大田区・飯島歯科医院
飯島 国好
長男がある私立の医学部を受験したとき、受験生本人の面接の他に、父兄の面
接があった。その時、何か本人が誇れるものを持参してきてください、と受験要
項に書かれていた。長男は特別絵がうまいわけでも、書がうまいわけでもなかっ
た。これといって誇れるものが思い浮かばなかった。そこで私たちは子供が生ま
れてから、毎年続いている写真の年賀状のアルバムを持参することにした。
愛が医学の根底なのだから、これから医学に携わろうという人間にとって、患
者さんに注ぐ、溢れるような愛情は、能力以上に大切な条件である。人を愛する
には、まず愛される体験である。愛が子供に溢れるほどに充填されていなければ、
その子供は大人になって自分で充填しなければならなくなる。自己証明の人生は
つらい人生である。年賀状のアルバムによって、この子が私と家内にどれほど愛
されて育ったかが伝わると考えた。
面接の担当教授はすばらしい方であった。我家の小さなアルバムを微笑みなが
ら見てくださった。幸いにも、長男はこの大学にも、後から受験した国立の医学
部にも合格した。彼は学費のことを考えて国立を選んでくれた。現在はこの私立
大学の付属病院に小児科医として勤務している。彼にも面接時の印象がよほど良
かったに違いない。
患者さんのお母さんから、病院に感謝の投書があった。
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