歯科診療所でエイズウイルス(HIV)の感染を明らかにした患者がその後の診療を拒否され、高知大病院で治療するよう指示されていたことが4日、分かった。
高知大病院によると、患者は昨秋、かかりつけの歯科診療所を感染判明後、初めて受診。歯科医師に感染を告げたところ、「治療を続けると感染の事実が外に知れる可能性があるので、医大で治療を受けてください」と言われたという。
患者から相談を受けた高知大病院は県歯科医師会に正しい感染症対策の周知などを要請。県歯科医師会が1月に開いた講習会にHIV専門の看護師を派遣し、歯科医師ら約350人に感染症予防対策をアドバイスした。
高知大病院の山本哲也・歯科口腔(こうくう)外科長は「背景には感染症への知識不足に加え、HIV患者を受け入れる歯科医院でも公表したくないとの偏見がある。正しい知識の普及に努めていく」と話した。