フィンランドの研究者は、平均年齢71歳の1449人を対象に認知症のテストと皮肉っぽさの度合いを測るアンケートを実施。アンケートでは「ほとんどの人が出世のために嘘をつくと思う」などの文章について、どの程度同意できるかを回答してもらい、そのスコアに基づいて、不信感の強い皮肉屋である度合いを「低、中、高」に分類した。
622人が2回の認知症テストを受けた。2回目のテスト実施時期は平均で研究開始の8年後であり、この間46人が認知症の診断を受けた。高血圧、高コレステロール値、喫煙などの認知症リスクに影響し得る要素を調整すると、不信感が強く皮肉屋である度合いが高い人は、低い人と比べて認知症発症率が3倍であることが分かった。
また、この研究では皮肉屋である度合いと早期死亡との関係にも着目。1146人を平均10年間追跡調査したところ、当初は皮肉屋である度合いの高さと早期死亡に関連性があるかと思われたが、社会・経済的状況や喫煙、健康状態などの要素を考慮すると、皮肉屋であることと早期死亡との間には関連がないと判明した。
研究者は「皮肉っぽさといった個性が認知症リスクにどのように影響するかが分かれば、認知症リスクを抑える方法について重要な見解が得られるだろう」と述べている。