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義歯の材質によって、義歯洗浄剤を使い分けたほうがよいのですか?

 義歯洗浄剤は主成分により、①次亜塩素酸、②過酸化物、③酵素入り過酸化物、④酵素、⑤銀系無機抗菌剤、⑥生薬、⑦酸、⑧消毒薬などに分類されます。これらは、通常の義歯床用レジンの劣化など、臨床上問題となる悪影響を与えることはほとんどありませんが、成分によっては義歯材料に影響を及ぼすものもあるため、義歯の種類によって義歯洗浄剤を使い分ける必要があります。酸や次亜塩素酸系義歯洗浄剤は、金属に影響を及ぼす可能性があるため、メーカーの定めた使用法を守って注意して使用する必要があります。
 金属を使用した義歯には、酵素系や生薬を配合した義歯洗浄剤が適しています。また、軟質リライン材やティッシュコンディショナー(粘膜調整材)は、ブラシなどによる機械的清掃が難しいため、義歯洗浄剤による化学的洗浄が応用されます。材料の影響や微生物の殺菌効果、バイオフィルム除去能を検討すると、銀系無機抗菌剤配合の洗浄剤がこのような軟質材料の洗浄にもっとも適していると考えられます。酵素系や生薬が配合された義歯洗浄剤も比較的適しています。また、家庭での義歯洗浄剤によるケアに加え、3~4カ月に1度、歯科医院にて歯科医院専売の義歯洗浄剤などによるプロフェッショナルケアを行えばより効果的とされています。