旭川赤十字病院など旭川市内の大規模5病院を核に、100を超える道北地域の中小規模医療機関をインターネットを介してつなぐ医療情報ネットワーク「たいせつ安心i(あい)医療ネットワーク」が、今年4月からスタートした。5病院が診療記録やコンピューター断層撮影装置(CT)をはじめとする画像情報などを提供することで、当該患者が他の医療機関にかかっても、診療経過を容易に知ることができるシステムだ。将来的には、道北全域のネットワーク化を目指している。
同ネットは、旭川赤十字病院と地域医療機関が連携した「旭川クロスネット」を大幅に拡張したシステムで、ネットの中核となるのは旭川赤十字、旭川医大、市立旭川、旭川厚生の各病院と国立病院機構旭川医療センター。5病院は患者の同意を得た上で、診療記録と画像情報を提供する。さらに、富良野協会、留萌市立、深川市立の3病院は画像情報のみを登録する。
一方、地域の医療機関は、患者の同意を得たうえでインターネット経由で情報を閲覧できる。5月28日現在、参加している地域医療機関は、旭川をはじめ稚内市、留萌市、留萌管内羽幌町、上川管内美瑛町など道北の病院28、診療所71、歯科医院12、処方箋薬局11、計122医療機関となっている。利用する際、第三者への情報漏えいを防ぐため外部からアクセスできない仕組み「仮想プライベートネットワーク(VPN)」を使っている。
このシステムを使うと、患者は、例えばがんなど重い病気でかかりつけの診療所から大規模病院へ転院して治療を受け、再び診療所に通院することになっても、診療所の医師がそれまでの診療経過を踏まえた対応をとることができ、重複した検査を避けられるなどのメリットもある。